神楽坂のキャリアコンサルタント

永らく「神楽坂のキャピタリスト」のタイトルで発信をして参りましたが、この度タイトル名の変更を致しました。

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キャピタリストへの別れ

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今日、一つの時代が終わった。これは私にとってはもの凄く大きな出来事であり、何しろこのブログのタイトルさえ変えなきゃならないんだ。永らく黙っていたのだが、今日がベンチャーキャピタリストとしては最後の出勤日となった。1カ月以上前から分かっていた…

Facebookの大型IPOに思うこと

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Facebookが5/28に米ナスダック市場に公開した。初値は42.05$をつけ、時価総額は1150億ドル(9兆1000億円)である。わずか27歳の若者が経営する設立して8年のネット系会社が、なんとトヨタ自動車の時価総額10兆5600億円に迫った。しかし、史上最大のIT系企業…

天才逝く

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スティーブ・ジョブズが死んだ。膵臓がんに侵され、肝臓移植も受けたばかりだったから、ゲッソリと痩せたあの姿を見るにつけ、かなり厳しい状況なのだと予感させられていた。8/24にアップルCEOを辞任し、ティム・クックを後任に指名した。しかし、こんなにも…

公開記念パーティーにて

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先日、さる会社の「公開感謝の集い」と名うった公開記念パーティーに出席した。ホテルオークラの一番広い宴会場「平安の間」で行われ、1000人近い人々が集まった。勇壮な和太鼓のパフォーマンスで始まったパーティーは、直に大スクリーンでの会社のプレゼン…

MBOブームに思う(2)-何故非上場化をするのか

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昨日、MBOによって上場廃止する企業が増えているという話を書いた。今日はそもそもその上場(IPO)の意義について考えてみたい。 IPOにはメリットとデメリットがある。デメリットとなるのはディスクロージャーへの対応・事務負担増加などのコスト増…

MBOブームに思う

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MBO(経営陣による自社買収)によって上場廃止する企業が増えている。最近でもCCC(TSUTAYAを展開するCD/DVDレンタル)、アートコーポレーション、幻冬舎といった有名銘柄が市場を去った。 MBOは欧米では1980年代から活用されていたが、日本では2000…

スタンフォード大学のセミナーに

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青山にある某総合商社の本社でJVCA(日本ベンチャーキャピタル協会)が主催したセミナーに出席した。講師はスタンフォード大学のDr.Martin Haemmig教授であり、テーマは「オープン・イノベーション及び世界のVC及びCVCの動向分析」であった。Harmmig教授は国…

日米VCの違い

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日米VCの差は何処にあるか。常に考えてきたテーマであるが、我が国のVCはMicrosoft、Apple、Google、Amazon、Facebook・・・多くの革新的なVB企業を生んできた米国VCを追随してきた。1970年代から米国のVCビジネスモデルを模倣しながら、何度かの…

米国IPOの復活

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VECのレポートを読んで、海外のIPO動向に注目した。米国のIPOが復活している。2008年後半のリーマンショックによる市場混乱で激減していたが、一時半年はIPOが停まった。2009年は後半盛り返し、94社がIPOし、2010年は154社が上場した。2010/6にはTesla Motor…

株主総会シーズンに

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さて、この後、ワールドカップ決勝トーナメントの日本VSパラグアイ戦が始まる。今晩でベスト8が出揃うのだ。残ったチームをみると、ブラジル、アルゼンチン、ドイツ、オランダ・・・など強豪揃いだ。前回大会の決勝対決のイタリア、フランスは脆くも予選敗…

相次ぐ粉飾事件 

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実態よりもよく見せかけようと、架空の姿を作ったりすることを粉飾という。人は何故飾ろうとするのか?東証マザーズが粉飾決算で揺れている。シニアコミュニケーションが6/4に上場以前からの架空売り上げの計上を公表した。ついこの前、マザーズでは上場から…

友からの相談

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実はいまは連休も後半の5/4であるのだが、この間忙しく動き回っており、殆ど自宅に居なかったのである。今日は漸く落ち着き、朝から居るので、ざっと振り返ってみたいと思う。 連休前の4/30(金)の夕方に高校の同級生の信さんが会社に訪ねてきた。彼は深川…

VCの投資判断のあるべき姿

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ニコラス・タレブの本を読んでいて、ベンチャー・キャピタルに対して言っている気のきいたフレーズがあるので、御紹介しよう。「こういう賭けをちょっとずつたくさんするのが重要だ。目立つ黒い白鳥一羽に気をとられてはいけない。考えられる限りたくさんの…

水永さんとの出会い

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「入門ベンチャーファイナンス」(ダイヤモンド社)の著者である水永政志さんが先日訪ねて来てくれた。私が大学院の授業で、この本をテキストとして使わせて頂いたのがそもそもの縁だ。12/19のブログに書いたことを検索され、メールをくれたのだった。 水永…

 日本女性の美徳

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今年7月に公開したばかりの株式会社クックパッドの佐野陽光社長の話を聴いてきた。今日はここ1ヵ月間通っていたあずさ監査法人「株式上場セミナー」の最終回だった。あずさが手掛けた会社の最近の公開成功例として、上場体験談を語られた。クックパッドは料…

IFRSとコンプライアンス

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あずさ監査法人の株式上場セミナーを受講し、直帰してきた。同法人は神楽坂の軽子坂を上った所にある。我が家にも10分とかからない距離だ。このセミナーは11・12月の計5回行われるもので、受講理由は明快だ。ベンチャーキャピタリストとして既に10年以上活動…

今年のIPO市場

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外に出ると予報通り雨が降っていた。日常、いつも折り畳み傘を鞄の中に忍ばせているので、濡れることはあまりない。今日は午後2時からあずさ監査法人の株式上場セミナーが、地元神楽坂であった。会場となった家の光会館からは逢坂を登ると、家まで10分とかか…

小説風「神楽坂のキャピタリスト」(14) 毘沙門天降臨<下>

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森元の事業はまだ構想だけで、これから始めるものだった。この事業のキーとも言えるシステム作りが並行して進んでいた。役員陣にはフランス系米国人とシステムに強い人間が加わった。男は実査と称して、いくつかの有名店にヒアリングを開始した。ビジネスモ…

小説風「神楽坂のキャピタリスト」(13) 毘沙門天降臨<上>

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ベンチャーバブルと言われた時代があった。ヒルズ族という六本木ヒルズにオフィスを構えるベンチャー企業群をまとめてそう呼ぶこともあった。堀部のLivedear、沖口のGodwellが消え、外にもかつてもて囃されたものの、今は虫の息の会社も多い。しかし、仁木谷…

小説風「神楽坂のキャピタリスト」(12) 消え去った彼女

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出会いたいと思っているような、彼女に出会えることは、人生において殆どないであろう。出会いたいと思っている会社に、出会えるベンチャーキャピタリストも稀であろう。男はある時、そんな風に遠くから想っていた会社に投資をする機会を得たのだった。その…

小説風「神楽坂のキャピタリスト」(11) 3rd Place

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ここは日本橋のとある喫茶店である。かつて、男が良く利用した店である。久しぶりに訪れた店は改装され、喫煙者専用の座席がガラスの壁で隔離されていた。日本橋通りに面した広いガラス窓の店内は明るかった。夏の強い陽射しが、秋の柔らかな陽光に変わって…

小説風「神楽坂のキャピタリスト」(10) Real Estate ForeverⅢ

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この前の話にはまだまだ続きがある。中堅不動産会社キャンペーンを社内ではった男は、その後もJ社の外にも、立て続けに3社に投資を実行した。いづれも東京の山の手から武蔵野地区で展開する不動産会社である。戸建てを専門にしていたり、マンション主体だっ…

小説風「神楽坂のキャピタリスト」(9) Real Estate ForeverⅡ

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男の投資をしたJ社はその後どうなったのであろうか。J社の業績は予測を上回るペースで伸びつづけ、増収増益を継続した。投資をした1年半後の98/11に店頭登録を果たし、翌99/11に東証2部に上場し、2001/3には東証1部上場を順調に達成し、ステップアップしてい…

小説風「神楽坂のキャピタリスト」(8) Real Estate ForeverⅠ

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ここは本郷三丁目にある住宅展示場である。男が目にしたのは東大の脇に出来る分譲マンションの申し込みに並ぶ人たちの列である。先頭の人は数日前から既に並んでいるとのことであった。家族が交替で昼夜並ぶか、アルバイトでも立てているのだろう。時は1996…

小説風「神楽坂のキャピタリスト」(7) コンテンツⅡ

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投資をしてからのS社との付き合いは苦いものだった。大ヒットした作品に続く二発目のヒットが一向に出なかった。米国有名映画監督とのCG映画制作で失敗。タイトルファンドを組むものの、結果的に挫折。借金を多額に抱え、金繰りが悪化してしまった。結局、実…

小説風「神楽坂のキャピタリスト」(6) コンテンツⅠ

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ここは高田馬場駅近くにあるオフィスビル2階にある会議室。会議室の脇の作業場はそれぞれの机がパーティションで区切られており、クリエイターと呼ばれる者たちが自由に発想できるような空間となっている。大企業にあるような机を島のように並べた大部屋制で…

小説風「神楽坂のキャピタリスト」(5) 回想

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米国のベンチャーキャピタリストが、キャピタリスト同士の挨拶として使われる言葉に「これまで何社倒産させたか」というものがある。これで相手のキャピタリストとしてのキャリアを測るのである。また、如何にリスクを取った投資をしているかの姿勢と考え方…

小説風「神楽坂のキャピタリスト」(4) 胎動

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ベンチャーキャピタルという、銀行とは似て非なる組織に入った男は、始めはなかなか案件に恵まれなかった。というよりも、銀行時代とは選別の基準がどうやら違うようであることに気付きだした。まずは企業審査から徹底的に叩き込まれた男は、企業の財務諸表…

小説風「神楽坂のキャピタリスト」(3) 再出発

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男は93年末に発令を貰い、丸の内の本店を離れることになる。次なる発令はVC会社への出向だった。会社は10数人の小所帯で、青山1丁目にあった。銀行や商社の本社が並ぶ殺風景な丸の内・大手町とは違い、お洒落な街の一角にあった。このビジネスのセンスを象徴…

小説風「神楽坂のキャピタリスト」(2) 挫折

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男は八橋大学を卒業し、戦前は政府系銀行で、戦後に長期信用銀行という業態で民間銀行転換した日本産業銀行に入行した。男が初めてVCのビジネスに入ったのは93年末のことだったが、それまでの話を少し辿ってみたい。北国にある地方支店で一通りの銀行業務を…