神楽坂のキャリアコンサルタント

永らく「神楽坂のキャピタリスト」のタイトルで発信をして参りましたが、この度タイトル名の変更を致しました。

日米VCの違い

macky-jun2011-04-22

 日米VCの差は何処にあるか。常に考えてきたテーマであるが、我が国のVCはMicrosoftAppleGoogleAmazonFacebook・・・多くの革新的なVB企業を生んできた米国VCを追随してきた。1970年代から米国のVCビジネスモデルを模倣しながら、何度かのベンチャーブームの波を経験しながら、VCが設立されてきた。
 日本のVC社数は200社程度と言われているが、実質稼働しているVCがどの位あるのか分からない。一時流行った地公体の作ったキャピタルファンドは開店休業状態だし、外資系VCも撤退した。投資の約7割は上位10社のVCで行なわれているようであり、寡占構造にある。だいたい個々の案件でも出てくる顔ぶれは一緒である。我々VC同業者はよく互いの顔を知っている。
 米国のVC社数は数年前の最盛期には1000社を超えていた。2009/末には800社まで減少したようだが、20年前に比べ2倍もあるらしい。当然ながら競争は激化しており、フェアバリューを超えた価格での投資、相乗りによる過大投入が頻発した。ファンドサイズも巨大化しており、「管理報酬」という甘い蜜に味をしめ、資金集めを優先し、短期的収益を重視し、投資の早期流動化に主眼を置いた運営になっていると言われている。ExitがIPOからM&Aに流れているのはそうした背景もあるようだ。
 また、M&AによるExitはIPO程はリターンを望めない為、ファンドのパーフォーマンスは低下している。1998年以降に開始したファンドでは投資倍率((配当金+残存価額)÷出資金)の中央値が1を下回っており、半数以上のファンドは出資者に出資金以上のリターンを返せずにいるようだ(Cambridge Associates LLC 2010/9調査)。IPOの減少により、苦しんでいる姿は日本も米国も同じである。
 しかしながら、日欧のように人口が伸び悩み、少子高齢化が進み、国内市場の拡大が期待しにくい成熟市場と比べ、米国では依然として人口は増え続けており、年齢構成も若い。このような巨大でかつ成長している市場を抱える米国とではベンチャービジネス市場の潜在力が違うのかもしれない。当然ながらVCとしてはどちらの市場が有望かは言うまでもなさそうだ。