神楽坂のキャリアコンサルタント

永らく「神楽坂のキャピタリスト」のタイトルで発信をして参りましたが、この度タイトル名の変更を致しました。

Facebookの大型IPOに思うこと

macky-jun2012-05-26

  Facebookが5/28に米ナスダック市場に公開した。初値は42.05$をつけ、時価総額は1150億ドル(9兆1000億円)である。わずか27歳の若者が経営する設立して8年のネット系会社が、なんとトヨタ自動車時価総額10兆5600億円に迫った。しかし、史上最大のIT系企業の公開として加熱し過ぎた為か、ここ1週間で大きく値を下げ、株価は3/4(5/25終値は31.91$)にまで急落した。
 上場に伴い市場からの調達額は184億ドル(約1兆4500億円)である。2004年公開のGoogleが19億ドルであったから、如何に大規模なIPOだったかわかるだろう。ある国の国家予算にも匹敵するような多額の資金の使い道がとても気になるがいったい何に使うのだろうか。実はFacebookはいろいろな企業と特許に絡む紛争を抱えており、リスク回避の戦略から特許買取り資金に使うようだ。早速、同社は米Microsoftから特許650件を5億5000万ドルで購入することを決めたようだ。同社はこの3月にも米IBMから750件の特許を買取っている。Yahooとも現在、特許で争っている。
 またM&A資金としても使われるようだ。写真共有アプリ提供のインスタグラムを約10億ドルで買収したばかりだ。この会社は10/10からサービス開始したばかりの会社で、売上高がほぼゼロであったにもかかわらずこれだけの高額で売買されたのだ。利用者は3000万人ながらFacebookを上回るペースで成長を続けるのに、ザッカ―バーグCEOが危機感を持ったからと噂されているようだ。
 さてこの9兆円もの価値をつけた会社の株式をCEOのザッカ―バーグが55%も保有しているのだ。Facebookの利用者数は全世界で9億人超である。世界の8人に1人が会員である。実名登録が原則のFacebookには個人情報の宝庫である。厳密に管理されているとはいえ、これだけの情報を持つ会社の株式の過半を27歳の若者が握っていることに恐ろしさはないのだろうか。
 かつてGoogleが「世界中の知的情報を集める」という野望のもとで、GoogleEarthやストリートビューが開発された。GoogleEarthからは北朝鮮の特殊施設と思しきものが覗けたし、25年前に私が住んでいたFrankfurtのアパートの中庭まで眺めることができた。ストリートビューに至っては他人の家を平気で覗き見できてしまうのだ。こんなことを一私企業が行っていることに、しかも世界中の人に公開していることにとても怖さを感じたのだ。多くの人がそんな恐怖を抱いているに違いない。
 確かにGoogleFacebookの躍進は米国経済の復活を期待させるものなのだろう。これまでも経済危機を迎えるたびに、イノベーションを生み、再生を繰り返してきた歴史がある。果たしてこれら両社に米政府は甘くないのだろうか。それとも両社の成長を促すのは米国覇権の下でのCIAとも絡んだ知的情報戦略の一環でもあるのだろうか。