神楽坂のキャリアコンサルタント

永らく「神楽坂のキャピタリスト」のタイトルで発信をして参りましたが、この度タイトル名の変更を致しました。

スタンフォード大学のセミナーに

macky-jun2011-05-12

  青山にある某総合商社の本社でJVCA(日本ベンチャーキャピタル協会)が主催したセミナーに出席した。講師はスタンフォード大学のDr.Martin Haemmig教授であり、テーマは「オープン・イノベーション及び世界のVC及びCVCの動向分析」であった。Harmmig教授は国際VC研究及びイノベーションの第一人者であり、米国、カナダ、欧州、イスラエル、中国、インド、日本、韓国等のVC及びCVCの調査分析を続けており、年間7〜8か月は世界中を旅しているという55歳のスイス人である。
 なるほど大変エネルギッシュな方で、3時間近い講義を途中10分程度の休みのみで、殆ど身振り手振り豊かにしゃべり続けていた。世界で活躍する人というのは違うなというのが印象だった。通訳なしの英語でのセミナーだったので、どの程度理解できたかは心許ないのだが、同じくベンチャーキャピタリストで教壇にも仮にも立っている己が身を振り返れば、その精力的な姿に圧倒され、恥ずかしい思いをしたのだった。世界のVCやイノベーションを研究する学者というのは、このように世界中を飛び跳ねて、情報を集め、発信しなければならないのだ。やはり、恐るべしやベンチャーの牙城、スタンフォード大学である。
 前半の「Corporate Venturing & CVC」はイノベーションに関する抽象的な話が多かったが、後半の「Benchmarking Global Corporate VC:VC VS. Corporate VC」は各国のVC事情が窺え、興味深かった。米国も欧州もここ3年はIPOが沈んでいたが、中国のみ元気であり、イスラエルのVCがアーリーステージ企業への投資が積極的なのに対し、中国の投資は殆どがレーターステージのものばかりであった。これはイスラエルが投資に対し、政府保証があることが大きいようだ。一方で中国企業のリスクは高く、レーター企業にしか金は集まらないからだろう。
 プレゼンペーパーの各国比較が米国、欧州、イスラエル、中国、インドであったのが残念だった。VCの投資金額が日本は欧米諸国に比べ、格段の差があるように、この世界でも相手にされていないのがとても残念だった。しかしながら、Harmmig教授のペーパーでは日本のIPO市場についても3枚だけ付け加えてあった。申し訳ないと思われたか、日本の協力者(JVR)によるペーパーを加えてくれたようだ。とても刺激的な一日であった。