神楽坂のキャリアコンサルタント

永らく「神楽坂のキャピタリスト」のタイトルで発信をして参りましたが、この度タイトル名の変更を致しました。

米国IPOの復活

macky-jun2011-04-21

 VECのレポートを読んで、海外のIPO動向に注目した。米国のIPOが復活している。2008年後半のリーマンショックによる市場混乱で激減していたが、一時半年はIPOが停まった。2009年は後半盛り返し、94社がIPOし、2010年は154社が上場した。2010/6にはTesla Motorsが上場、/11にGMが再上場を果たした。特徴的なのは中国企業の躍進であろう。2010年のIPO企業のうち、1/4を中国系企業が占めたのである。
 VC支援企業のIPOは2008年から2年間にわたり10社前後に激減していたが、2010年には61社に拡大した。その内、中国系企業が36%を占めた。今後、FacebookZyngaなどの著名企業の上場の噂もあり、米国市場はさらに活気づいている。
 VCの投資はファンドレイズが減少していることから、依然慎重姿勢を崩していないが、セクター別に見ると、バイオテクノロジー、ソフトウェア、工業、エネルギーの順になる。太陽光発電関連、電気自動車関連、スマートグリッドなどのエネルギー効率化部門へのビッグディールが多い。
 米国VCのExitはIPOよりもM&Aであるとよく言われる。しかし、ExitのM&Aシフトはここ10数年程の話である。かつてはやはりIPOが大層を占めていた。2000年の年間投資額1000億ドルというピーク時の約7割がIT関連セクターであった。ITバブル崩壊により投資先も崩壊し、ファンドパーフォーマンスは大きく悪化した。更に2002年のエンロン事件等の企業会計不祥事をきっかけにSOX法が導入され、株式市場が失速。VCも出口戦略の見直しを迫られ、IPOからM&Aへ大きくシフトする。VCのビジネスモデルも大きく変化する。
 米国のIPO市場もVCも、この10年間は低迷を経験しながら、大きく転換をしてきた。依然、低迷を続ける我が国にもヒントとなることがあるような気がする。