神楽坂のキャリアコンサルタント

永らく「神楽坂のキャピタリスト」のタイトルで発信をして参りましたが、この度タイトル名の変更を致しました。

水永さんとの出会い

macky-jun2010-01-20

 「入門ベンチャーファイナンス」(ダイヤモンド社)の著者である水永政志さんが先日訪ねて来てくれた。私が大学院の授業で、この本をテキストとして使わせて頂いたのがそもそもの縁だ。12/19のブログに書いたことを検索され、メールをくれたのだった。
 水永氏は2002年から学習院大学で講義をされていて、その講義内容を録音され、この本を書かれた。自身の著作を講義で使われたというのがよっぽど嬉しかったようである。著作は自分の子供みたいなものでもあり、その気持ちはよくわかる。
水永さんはスターマイカというヘラクレスに上場している会社の社長さんでもある。忙しい社長業をこなしながら、大学で教鞭をとられている。この会社は中古区分所有マンションの流動化をやっているユニークなビジネスモデルの会社で、不動産不況の中でも好業績を維持している立派な会社だ。
 彼の経歴を紹介すると、東大卒業後、三井物産に入社、UCLAMBAを取得し、ボストンコンサルティングで経営コンサルをされ、ゴールドマンサックス証券を経て、ピーアイテクノロジー(現アセット・マネジャーズ)を設立。2002年にスターマイカを設立し、2006/10に公開を果たす。学生時代にも既に起業をしていたらしい。根っからのベンチャーマインドを持った稀有な人だ。
 GSのメンバー3人で立ち上げたピーアイテクノロジーの起業が一年早すぎて、ITバブルの崩壊でファンドへの投資が集まらず、仕事が全く無くなってしまったこと。崖っぷちにいて、死にそうだったこと。毎晩、酒を飲まずには眠れなかったこと。ようやくうまく会社を売却して、もうベンチャーはこりごりだと思ったが、またスターマイカを起こしたこと。元々個人でマンション投資を行なっていたが、うまくいくと事業計画を書いて確信したこと。苦労した経営者ならではの大変貴重なお話を聞けた。天国と地獄を経験した人ならではの重みのある話だった。
 こうした経験をされた人の講義はさぞ説得力があるだろうな、と同じ教壇に立つ者として、すっかり感心してしまったのだった。とても謙虚で好感を持てる方だった。世の中、優れた人はいるな、と思った日だった。