神楽坂のキャリアコンサルタント

永らく「神楽坂のキャピタリスト」のタイトルで発信をして参りましたが、この度タイトル名の変更を致しました。

IFRSとコンプライアンス

macky-jun2009-12-03

 あずさ監査法人の株式上場セミナーを受講し、直帰してきた。同法人は神楽坂の軽子坂を上った所にある。我が家にも10分とかからない距離だ。このセミナーは11・12月の計5回行われるもので、受講理由は明快だ。ベンチャーキャピタリストとして既に10年以上活動し、ここらで既往の知識を整理したかったのと、最新のIPO関連情報を学びたかったことと、おまけに会場が家に近いことである。日々仕事に追われていると、体系的に学べる機会というのは極めて少ない。
 本日は第3回、「株式上場のための会計基準」と「上場会社におけるコンプライアンス」の2コマであった。「会計基準」は、IFRSIPOについての話だった。いまとても旬なテーマである。IFRSとはInternational Financial Reporting Standardsの略であり、アイエフアールエスとも、アイファースとも、イファースとも呼ばれる。アイファースはスラングで別の意味があるので、面倒でもアイエフアールエスと呼ぶのがいいだろう。IFRSは欧州中心の国際会計基準であるが、米国がUS基準からIFRSに移行するのではないかとの動きがあり、このままでは日本は世界の流れから取り残される怖れがあるとのことで、にわかに注目されだしたのである。しかし、日本ではIFRS適用は正式には決まっていない。2011年迄に米国が採用するかを見て、日本は2012年に判断することにしている。ここでも、自主性のない日本人の特質が出ています。「みなさん、そうなさっています」から脱却できないようだ。
 適用は2015年度からになるようですが、過去3期分のP/LやB/Sが対象になるので、実質2013年度決算から対象になります。説明を聴いて、IFRS適用になったら企業は大変だぞというのが印象です。J-Soxの適用が決まって、IPOのハードルが上ったように、IFRSIPOにとっては再び逆風要因になるのでしょうか。
 「コンプライアンス」の話は弁護士の方の話でしたが、とても面白くためになりました。日頃、「コンプラ」と呼び、すっかり日常語になりましたが、当初は「なんじゃ?それは」という単語でした。コンプライアンスとは、法令の遵守、企業(経営)倫理の遵守のことです。ビジネスでは業績至上主義とコンプライアンスは相反するもののように思われがちですが、極めて密接で重要です。法令違反を犯すと、刑事処分・行政処分をくらうだけでなく、株価下落や金融機関との関係は悪くなり、取引先を失う場合もあるでしょう。その結果、業績は悪化し、上場廃止株主代表訴訟になったり、いろいろな負の影響が考えられます。だから、現在の上場審査はコンプライアンスについて、とても厳しくチェックします。
 企業の体制を見られますので、関連法規(会社法金融商品取引法、労働関係法、知的財産権法・・・)に則した規程の整備とか社内体制が取れているかが、あらゆる角度からチェックされます。上場するのは大変だなと、改めて思いました。しかし、考えてみれば公開企業というのはPublic、社会の公器になることですから、あらゆる法令を守っていくというのは当たり前なことですね。大変だけど、一流企業を目指すためにブラッシュアップしていくと考えれば、公開というのはいいきっかけになるのではないでしょうか。