神楽坂のキャリアコンサルタント

永らく「神楽坂のキャピタリスト」のタイトルで発信をして参りましたが、この度タイトル名の変更を致しました。

「白熱教室」にならう

macky-jun2010-12-18

 大学院の講義に行くのが楽しみである。毎週土曜日の夕方、「ベンチャーファイナンス論」の講義を行なう為、隣駅の早稲田まで行っている。そこでの生徒たちとのやり取りがとても刺激的で楽しいのだ。週末コースの社会人大学院なので、生徒は20代から60代までの幅広い世代で、中国からの留学生もおり、男女比もちょうど半々のバランスのいいクラスとなっている。
 そこでは生徒が輪番で各章毎に担当して、プレゼンをしてもらう。つまり、生徒が先生となり教壇に立ち、私は生徒席に混じって座っている。所々でそれに私が口をはさみ、解説をしたりコメントを入れたりする。ときにみんなの意見を聞いたり、質問を促したりする。そうしているうちに教室内の議論が活発になっていく。必ず全員が発言するのが、私の授業の特色だ。
 ときに大きく脱線し、議論が在らぬ方向に行ってしまうことも多い。しかし、そこでも面白い問題提起が為され、テーマとすべき問題点が新たに発見される。現在の日本を含む世界では抱えている問題が多く、「ベンチャーファイナンス論」をきっかけにして、幅広く問題点が浮き彫りになっていく。講義のテーマはあくまでも、議論の為のきっかけであるからそれでいいと思っている。自分の頭で考え、自分の意見を言える環境作りが教師の仕事と思っている。
 私からケースを出して、個人で考え、グループで討議し、みんなの前で意見を発表しあうこともある。今週あった時事問題を新聞の切り抜きから、解説し、議論することもある。形は何であれ、主体的にみんなが参加し、思ったことを自由に言える講義を目指してきた。だから、一方的に教壇の高い席からレクチャーをするというのとは甚だ遠いスタイルだ。
 ハーバード大学マイケル・サンデル教授の講義スタイルには大きく感銘を受けた。友人から教えられ、NHK教育で今春「ハーバード白熱教室」として12回に亘って放映されていたものをHDD録画して、時々視聴している。政治哲学の講義を行なっているが、同教授のスタイルは対話とコミュニケーションで、学生の意見をよく聞き、ディベートを行なうインタラクティブな講義だ。サンデル教授は議論をコントロールし、自分の方向に持っていく技と迫力とパワーを持っているコンダクターの役割だ。自然教室のようだが、軸は教授にある。同教授のスタイルに大きく影響を受けつつあるが、現時点では足元にも及ばない。少しでも近づければと願っている。