神楽坂のキャリアコンサルタント

永らく「神楽坂のキャピタリスト」のタイトルで発信をして参りましたが、この度タイトル名の変更を致しました。

Sさんは城山三郎の息子だった

macky-jun2008-06-05

 今日は横浜の会社に行き、定例の業績報告を受けて、今後の事業戦略について議論を闘わした。その晩、日本橋室町の小料理屋「篠」に集まり、同社を支援するキャピタリスト4人が集まり、会を開いた。業績報告会と飲み会が同じ日に重なったのはまさに偶然である。このお店はママの出身である山形の料理をベースとしながら、大変美味しい料理とお酒を愉しませてくれる隠れ家だ。
 横浜の予防医療を目的とした医療機器を開発販売するC社に共に出資を行なった勇士の集まりであるが、去年からたまに飲み会をやったり、ゴルフにいったりしている。前にもお話したが、この業界は銀行業界と違い、横の連携が良く、共に運命共同体という意識もあり、大変仲がいいのだ。
 この日も和やかに飲んで、最近自身のブログで本の書評・紹介のようなことも書いていると、蓮居くうなさんの「戦場のサレ妻」を話題としていたら、Sさんがやおら「今度、うちの親父のことも書いてください」と言われる。誰かと分かり驚いた。なんと、Sさんはあの経済小説の大家である城山三郎さんの息子とのこと。そういえばどことなく顔立ちがよく似ておられる。Sさんと知り合ってから2年以上経つが、これまで何も言ってくれなかったので、全くもって驚いたのだった。
 何しろ学生時代から城山三郎の作品は愛読しており、とても親近感を持っていたからだ。私のように経済学を学び、金融界に身を置く者は誰しも、愛読している作家だ。経済小説というジャンルばかりではなく、気骨のある人物を取り上げ、書かれている。「小説日本銀行」「落日燃ゆ」「官僚たちの夏」「男子の本懐」「ビジネスマンの父より息子への30通の手紙(キングスレイウォード作翻訳)」・・・好きな作品は枚挙に暇がない。
 Sさんから面白い話を聞いた。城山三郎さんは昨年亡くなられたのだが、彼の著作は古い作品も読まれ続けるものが多く、作品数は110もあるらしいのだが、相続税の財産評価額を計算する際に、一つ一つ今後もどれだけ売れるかを出版社が予測し、収支計算するらしい。それが不思議とよく当たっているとのこと。未発表作の内、愛する奥様のことを綴った「そうか、もう君はいないのか」(新潮社)は妹さんがあとがきを書き、ゴルフダイジェストから出した「城山三郎ゴルフの時間」はSさんがあとがきを書いた。妹さんの書かれた方は15万部のベストセラーとなって、いまも売れ続けているらしいが、Sさんの方の「ゴルフの時間」は絶版が決まってしまったらしい。出版社の予測もその通りだったという。
 城山三郎さんは大の読書家でもあったらしいが、ゴルフも大好きだったらしい。さっそく、絶版前に「城山三郎ゴルフの時間」を是非とも読もう。ちなみに妹さんは井上紀子さんで、今度作家デビューを果たされるとのことである。ご活躍が楽しみである。