神楽坂のキャリアコンサルタント

永らく「神楽坂のキャピタリスト」のタイトルで発信をして参りましたが、この度タイトル名の変更を致しました。

ギリシャ危機の本質  

macky-jun2011-11-03

  ギリシャ危機が言われて久しいが、何故ここまで大きな問題となっているのか。2004年にアテネオリンピックが開催され、久々に注目されたこの国はそもそもオリンピック発祥の地であり、ローマ帝国以前の大文明を持った古豪である。しかし、現在は人口1110万人、経済的にはGDPが18兆円で福岡県と同じレベルであり、観光収入に20%を依存する、公務員が労働者の1/3という小国に過ぎない。
 この国のGDPは3年連続でマイナス、2010年は▲4.5%、2011年は▲5%にも達すると言われている。財政赤字も拡大しており、対GDP比率で160%もある。ちなみに日本はこれを上回り、200%もあるのだ。
 ギリシャ危機というのはギリシャ国債が償還できるかという不安なのだが、実質的にはもうデフォルト状態にあり、償還は難しい。それで10/26に欧州首脳が合意したEU包括戦略となるのだが、(1)民間銀行の負担拡大(自主的な評価減21%→50%)によるギリシャ支援強化、(2)IMFの支援拡大1000億ユーロ→1500億ユーロ、(3)EFSF(欧州金融安定基金)の拡充(融資枠4400億ユーロ→1兆ユーロ)などが決まった。
 欧州各国が必死になっているのには理由がある。ギリシャ国債をたくさん持っているからだ。仏40%、独23%、英10%であり、主要3国で7割以上を保有している。ちなみに米国が5%、日本は1%(1120億円)と少ない。仏・独の大手銀行が多くを持っており、ギリシャ危機の本質は仏・独の大手銀行救済である。それ故に欧州危機と言われているのだ。
 メルケル独首相、サルコジ仏大統領が一生懸命なのもその為であり、ギリシャの為というよりも自国の為なのだ。ギリシャパパンドレウ首相と11/2に会談をし、「ユーロに留まるか否か、ならば財政再建を進めろ」と強く迫ったようだ。ユーロ各国による支援策を受け入れるかを問う国民投票をするかしないかで揺れている。否決されれば、欧州危機の解決は遠のく。さてどうなるだろうか。