神楽坂のキャリアコンサルタント

永らく「神楽坂のキャピタリスト」のタイトルで発信をして参りましたが、この度タイトル名の変更を致しました。

日本国債格下げに

macky-jun2011-01-27

 米国格付け会社S&Pが日本の長期国債の格付けをAAからAA−に格下げした。同社による格下げは2002/4以来だから実に8年9カ月ぶりとなる。ちなみに最上格のAAAは米・仏・独・英・加の5カ国で、AA+がベルギー・ニュージーランド、AAがスペイン・カタールスロベニアであり、日本と同格のAA-は中国・クウェートサウジアラビア・台湾である。経済危機と心配されるスペインよりも下になってしまったのだ。
 国債の格付けというのは、長期債の償還可能性、即ち国が借金を期日通りにちゃんと返済できるかを現わしている、いわば国の信用力を示している。日本は2000年まではAAAの最上格にいたのだが、2001年から2002年にかけて3段階も引き下げられてしまった。いったん2007年に1段階上がったが、また今回引き下げとなった。
 最大の問題は巨額の債務残高にある。公的債務残高の対GDP比率(簡単に言えば、収入に対してどれだけの借金があるかということ)は204%であり、他の主要国(80〜90%台)と比べると突出して高い。GDPの2倍を超える債務残高は他国では戦時には多くみられたが、稀である。その位、日本の財政は危機的な状態にある。
 今回のS&Pの格下げは菅政権の財政運営への不信感の表れである。いまのねじれ国会(参院で与党が多数派でないこと)の下では財政健全化改革の実現性に疑問が投げかけられているのだ。
 但し、今回の格下げで何か厳しい事態になるかというとそんなことはない。円もいったんは83円まで下げたが直ぐに買い戻され、82円に戻っている。日本の国債は約95%が国内で消化されているからだ。国内金融資産1400兆円台といわれる資金が銀行への預貯金を通して、国債を購入している。国内投資家にとっては格付けは関係ないからだ。
 しかし、S&Pからは1年前に格下げを検討と警告を受けていたわけであり、それに対する無策な政権運営に対してのイエローカードと受けとめるべきであろう。マスコミに咄嗟に聴かれた菅首相の「疎い」発言があったようだが、これは言葉の選択ミスということで不問に付されよう。子ども手当などの民主党の「ばら撒き政策」などが本当に必要だったのか?レッドカードを叩き付けられる前に、財政再建に向けて、早急かつ賢明な政策対応をしていくべきだろう。 
 写真は江戸東京博物館にある浅草12階”凌雲閣”の模型です。現代でいえばすぐ近くにできるスカイツリーでしょうか。日本国も崩壊しないことを祈ります。