神楽坂のキャリアコンサルタント

永らく「神楽坂のキャピタリスト」のタイトルで発信をして参りましたが、この度タイトル名の変更を致しました。

(4)−「魚浅」さんのこと−

macky-jun2008-02-08

今週は忙しかったのでブログを4日も書けなかった。3連休の前の金曜の晩、自分にご褒美ではないが、ささやかながら労ってやりたい、そう思う晩がある。そういう時は決まって、20年来通う神楽坂駅近くにある「魚浅」さんの刺身を買って帰り、一杯やる。この魚屋さんはなんと100年以上続く名店なのだ。築地でも最高級のものばかり仕入れて来られるので、値段は高めだが、味は文句なしだ。どこの料亭も料理屋も敵わないものだ。おそらく、神楽坂の料亭や料理屋にも入れていると思われる。だから、たぶん東京でも最も美味しいクラスの魚が食べられるのだ。
 今日は軽めに蛸と青柳の刺身を買ってきた。僕はいつも「今日は何が美味しいの?」と聞き、親父さんが勧めてくれる中から選んでくる。何しろ長年のつきあいなので本当にその日の美味しいものを言ってくれるから、全面的に信頼している。魚の美味しい食べ方を覚えたのも「魚浅」さんのお蔭だ。
 神楽坂にも魚屋さんや八百屋さんが21年前に引っ越してきた時は結構あったが、皆閉めてしまって、今では生業店として営業されているところはほんの僅かになってしまった。都内にかかわらず全国どこでも同じ状況かと思う。江戸時代以前から、おそらく魚屋さんや八百屋さんは今とあまり変わらないスタイルであった数少ない伝統的な小売店だろう。こうした手間暇、労を厭わない仕事ぶりから出される刺身はスーパーではとても真似ができない。
 こうしたお店が無くなってしまうのは非常に寂しい。世の中、便利に進化し、高度化していくばかりではない。退歩もしていくのだ。失ったものは戻らない。「魚浅」さんには何時までも元気に店を続けて頂きたいものだが、一昨年、一人娘のお嬢さんが結婚されたので、たぶん跡取りはいないのではないかと思われる。僕よりもだいぶシニアな親父さんなので、この先が心配だ。妻とは「毎日、「魚浅」さんの魚を食べれるようになりたいね」と言っているが、懐寂しくなかなかそういう訳にもいかず。いつか僕が毎日「魚浅」さんの魚を食べれる日が来るまで、お店を続けて頂けるのを願うばかりだ。