神楽坂のキャリアコンサルタント

永らく「神楽坂のキャピタリスト」のタイトルで発信をして参りましたが、この度タイトル名の変更を致しました。

サブプライムローン問題の核心

macky-jun2008-02-09

 昨夏起こったサブプライムローン問題を発端として世界経済が大変なことになっている。当初、米国の信用リスクの高い一部の層に対する住宅ローンの信用不安が起きている位で、何で世界中が巻き込まれなければならないのか、そのメカニズムがよくわからなかった。
 問題を複雑にしたのは金融機関がサブプライムローン債権を担保に証券化して金融商品に組み入れて、世界中に売り込んだからだ。証券化により国境を越えた投資が広がり、欧米ばかりか日本の金融機関も手を出した。
 米国の住宅バブルがはじけたのが直接的な原因だが、ここ数年住宅価格が大きく上昇し、米国金融機関が積極勧誘し、残高を大きく膨らませた。また、当初2,3年は金利が低く、その後に金利が上がるローンを組んだので、高い金利を払えない人が増え、2006年ころから住宅価格が下落し、担保価値が下がり、家を手離しても返済できない人が増加した。延滞率は20%に迫るという。ちょうど日本のバブル時と同じ現象である。
 証券化された金融商品で多額な損失を被った米国の投資家が、その穴を埋めるために日本株を売っており、日本株の売買は70%超が外人売買となっている。それ故に日本株市場の痛手は大きい。米国は早速利下げを行ったので、日米金利差が縮小し、円高が進行、輸出産業に影響が出ることで、日本の景気が深刻になりつつある。風が吹けば桶屋が儲かる、という話と一緒です。
 リスクの計量化とか金融工学が発展してきたと言われてきた。しかし、今回のサブプライムローン問題はおそまつだ。従来だと与信を受けられなかった人々へのローンなので、金融機関サイドに貸し倒れリスクに対する過去データが無かったために、リスク・リターンのデータがいい加減だったようだ。貸し倒れリスクの高い人への与信なので、当然金利は高めに設定されており、そのリターンの高さが魅力で、正確なリスクデータを反映せず、多くの金融商品が同債権を組み入れた。組み入れ比率が高くなり、裁定取引を長く引っ張りすぎたことが傷口を大きくした。格付け機関も何故か高い格付けを与えてしまった。
 結局のところ、金融技術がいかに進歩しようが、数理上複雑にリスクをヘッジしようが、肝心な正確なデータが無い世界ではそれをカバーすることは不可能だ。金融技術の進歩を過度に信じすぎた人間の過ちが、今回のサブプライムローン問題の核心ではないだろうか。