神楽坂のキャリアコンサルタント

永らく「神楽坂のキャピタリスト」のタイトルで発信をして参りましたが、この度タイトル名の変更を致しました。

小石川で見つけた昔ながらの魚屋

macky-jun2012-05-13

 最近、夫婦で週末にひっそりと楽しんでいるものがある。二人でゆったりと食事ができる金曜日の晩を選び、妻が買ってくる「おきなや」の刺身である。ここは偶然、妻が仕事帰りに自転車で通りかかり、見つけた魚屋さんだ。始めは看板の「な」の旧かなが読めず、恥ずかしくも我々は「おきふや」と呼んでいた。この店構えからすればもう何十年もその場所でやっているだろうことを連想させる。そこは小石川3丁目、グルメシティの裏側の商店街から一歩小路に入った所にあり、昔は何軒かお店も連なっていたようだが、いまはその魚屋と肉屋があるのみだ。
 妻が2月に見つけてから、まだ数回買い物をしたのみだが、これまで一度としてはずれが無いのだ。初めて食べたのが、ヤリイカとマグロの赤身で1600円だった。ヤリイカはちょっと前まで生きていたという鮮度のいいもので、透明でシコシコと歯応えがあった。赤身も絶品であったが、おまけなのかトロが4切れも混じっていた。
 その後食べた赤貝と方々(ほうぼう)1600円も絶品だった。鮮やかな赤貝のシャキッとした触感とモチモチとした方々の独特な味わいであった。「目に青葉 山ホトトギス 初鰹(松魚)」の句のシーズン真っ盛りであり、この金曜日は初鰹を食べたいと妻にリクエストしておいたら、2000円でおまかせで注文をしたようだ。帰ってきて、開くと初鰹はもちろんのこと、なんと鯛に平目に鮪トロまでついていたのだ。おまけに生わさびと生姜が摺ってあり、ニンニクまでついてあり、至れり尽くせりなのだ。初鰹は充分季節を感じさせてくれる客人だった。
 昔から続く、生業店の魚屋さんがどんどん姿を消していくのは寂しい。こうした生粋の鮮魚店はスーパーの鮮魚とは一味違う、魚を食べさせてくれる。本来の魚はこんなにも美味しいものなんだと気づかせてくれる。まだこんな素晴らしい店が都会の片隅でひっそりと生き残っていたことに感動すると共に、その店を発見した妻の眼力にひたすら感謝する私であった。