沈んだ一日

　　この日はオプションツアーでグランドキャニオンに日帰りのセスナ機で行く予定であったが、現地の天候不順で中止になってしまった。妻がこの旅行中で最も楽しみにしていたプランだったので、落胆は大きかった。東京から大阪まで続く規模の巨大な峡谷を観て、アメリカの大きさを実感してみたかった。
　夕方4時にホテルのBuffetで食べ放題のバイキングを食べ、夜はオプションのイルミネーションツアーに出かけた。ラスベガスのダウンタウンでのアーケードの天井を使ったイルミネーションショーが壮大で面白かった。ダウンタウンは昔のラスベガスであり、古いホテルや商店が立ち並ぶ地区だ。元々、この街はフーバーダム建設で労働者が週末賭け事や遊びに来る街として栄えた。かつてはマフィアがカジノを支配した時代もあったが、そんな時代はとうに過ぎ去り、現在はメガリゾートチェーンによる健全な経営が為されており、安全には他の街以上に注意が払われている。夜中でもメインストリートは女性一人で歩いても、安全だと言われている。
　15年ほど前までは、カジノが観光の中心であったが、1998年のベラッジオでのシルク・ド・ソレイユ「Ｏ」の成功を機に、客層が一変したらしい。今ではショーやショッピングやエステなどカジノも含めた総合エンターテイメントの街となった。
　この日、町一番の高さのストラスフィアからの夜景を楽しんだ後に、ホテルに帰ってから、iPhoneを失くしたことに気が付いた。代理店に連絡したり、ソフトバンクに回線停止を行なったりとバタバタしたが、結局、出てこなかった。とても沈んだ一日となった。