神楽坂のキャリアコンサルタント

永らく「神楽坂のキャピタリスト」のタイトルで発信をして参りましたが、この度タイトル名の変更を致しました。

夢とは何か

macky-jun2013-10-26

 中学の同窓生森田泰弘君がプロジェクトリーダーとして関わった先月のイプシロン打ち上げ成功を祝し、母校目黒11中で講演会が行われた。在校生やその父兄に対して行われたものであるが、母校OBもOKとのことで、同窓生も20数名が駆け付けた。中学生向けにブレークダウンした分かり易い話であったので、科学音痴な俺にもちょうどよかった。イプシロン打ち上げに至るまでの苦労話が主体であったが、この中でモンタが言いたかったことは「夢」についてである。
 中学2年の時、ミュンヘンオリンピックで金メダルを獲ったバレーボールの嶋岡選手がメダルを下げ、母校で凱旋講演を行った。モンタはそれがよっぽど印象に残っていたとみえ、自分もいつの日にか自分の世界で金メダルを獲ろうと決めた。彼の夢はサンダーバードのようなロケットを打ち上げることだった。一緒に野球をやっていたその頃はそんな話を聞いた記憶はなかったが、彼にとってはだんだん現実の世界になっていった。大学院で博士課程に進み、彼は宇宙工学の研究者となり、JAXAに就職した。途中、M5の打ち切りなど挫折も味わってきたが、そんなことで弱音を吐くこともなく、持ち前の明るさで今回の偉業を成し遂げた。中学生の子供たちに「夢を何でもいいから持って欲しい」と語りかけた。
 家に帰って来てから、果たして自分にとっての夢とは何だったのだろうかと考え込んでしまった。というのは夢がはっきり浮かんでこなかったからだ。サンダーバードは大好きで、いまだに棚にはサンダーバードが何体も並んでいる。子供時代に買って貰えなかったサンダーバード基地を大人買いしたことすらある。同じサンダーバード好きでも俺はそのレベルで満足してしまい、「サンダーバードのようなロケットを打ち上げたい」などとは全く考えなかった。鼻っから無理だと諦めてしまったし、そもそもそんな関心すら湧かなかった。
 そうなれば俺にとって子供の頃の夢は何だったのだろうか。昔の文集を見れば、将来の夢や職業として「日刊スポーツの野球番記者」とか「切手会社の社長」とか書いてある。当時の関心事から短絡的に書いた夢というか、文集を作るに際し書かされた夢という感じである。モンタ君の壮大で深遠な夢とはとても大きな隔たりがあり、とても恥ずかしい気がする。夢や希望があれば、それに向かって実現しよう、近づこうと努力する。たとえ実現できなかったとしても、それに向かった自分に満足するであろう。
 果たしていまの自分は何か夢を持っているだろうか。これでも小さな夢は幾つか持っている。しかし、人前で披歴するようなものではないと思っている。夢とは自分の心の中にずっと仕舞い続けておくものであろう。モンタのように実現した人は堂々とそれを披露すればいいのだと思う。