神楽坂のキャリアコンサルタント

永らく「神楽坂のキャピタリスト」のタイトルで発信をして参りましたが、この度タイトル名の変更を致しました。

「ヒューゴの不思議な発明」

macky-jun2012-06-24

  週末の日課となったギンレイホールで、昨日は「ヒューゴの不思議な発明」を観に行った。この3月に公開したばかりのファンタジーアドベンチャー映画で、アカデミー賞最多の5部門を受賞した。監督は巨匠マーティン・スコセッシで、1976年の「タクシードライバー」80年「レイジング・ブル」2004年「アビエイター」等、数々の傑作を出してきた。
 舞台は1930年代のパリ、優雅な欧州の都の雰囲気を伝えている。駅の時計台に隠れ住む孤児のヒューゴ(エイサ・バターフィールド)の宝物は、勤めていた博物館の火災で亡くなった父(ジュード・ロウ)が遺した壊れたままの機械人形だった。ある日、父の残したメモを玩具屋の老人(ベン・キングズレー)に取り上げられてしまう。その老人の養女イライザ(クロエ・グレース・モレッツ)との不思議な出会い・・・そこから物語が進展する。少女が人形の修理に必要なハート型の鍵を持っていたのだ。そして機械人形の伝えるメッセージの秘密を探し当てに、二人は動き出す。
 世間から見放された孤児のヒューゴと、世間との絆を断ち切って過去に封印してきた老人のパパ・ジョルジュ。この二人の心が近づいていく様子、少年は老人に”亡き父親が見せようとした感動”を発見し、老人は少年に”好奇心いっぱいだった過去の自分”を発見する。この二人の心の交流を優しく橋渡しをしたのは、少女イライザであり、映画の歴史を書いた本の著者だったりする。
イライザがヒューゴに私は何をする為に生まれてきたの?と問いかける場面がある。彼は幼いながらに、人は何らかの役割を持ってこの世に存在するんだということを言う。彼は時計や機械のあらゆる部品は全て必要な物であり、なに一つ抜けてはならないということを実体験で学んでいる。時計台の遥か上からパリの街並みを眺め、世界も時計と一緒であり、人はこの世界である役割を負っていると、とても少年が語るとは思えない哲学的な境地を披歴するのにはとても感心してしまった。
 そして、この映画がサイレント時代の映画監督だった老人ジョルジュ・メリエスをモチーフに、スコッセシ監督の映画に対する愛情をふんだんに表現している。観終わって、心がほっと温かくなるような映画だった。映画の良さは自分が体験できない時代と空間に飛び、2時間という限られた時間で、主人公と一緒になって疑似体験ができるということだろうか。この日もパリの少年ヒューゴと共に遊んだ一時だった。