神楽坂のキャリアコンサルタント

永らく「神楽坂のキャピタリスト」のタイトルで発信をして参りましたが、この度タイトル名の変更を致しました。

「ドン・ジョバンニ」

macky-jun2012-04-25

  昨日は午後休をとり、新国立劇場のオペラ「ドン・ジョバンニ」に妻と行ってきた。平日のマチネーは老人ばかりであるが、元気な老人が多いことに感心した。80歳にもなってオペラに興味を持ち続け、少しお洒落をして劇場にやってくる。私自身も年をとったら、かくありたいと思った。
 「ドン・ジョバンニ」を観るのはこれが初めてであるが、モーツアルトのオペラとして有名なこの作品はところどころのみしか知らなかった。オペラは長いので途中居眠りをしてしまうのではと畏れたが、家にあった本とCDで予習をしてきたので、内容もよくわかり眠ることもなく楽しめた。物語はオペラ特有の他愛もない話である。「ドン・ジョバンニ」とは「ドン・ファン」のことであり、女性とみれば口説くスペインの伝説的放蕩者であり、16世紀から17世紀にかけ数多くのスペイン文学の恰好の素材となった。
 何しろこの主人公「ドン・ジョバンニ」はどうしようもないスケコマシであり、イタリアで640人、ドイツで231人、フランスで100人、トルコで91人、地元スペインではなんと1003人もの女性を征服し、従者のレポレッロのカタログに書きとめさせている。その数は合計でなんと2065人。稀代の色事師だ。
 この物語は冒頭から騎士長の娘ドンナ・アンナの屋敷に忍び込み、強姦未遂の騒ぎを起こすが駆け付けた父の騎士長を殺してしまう。以降、この父の復讐でアンナとその恋人ドン・オッタ―ビオから追いかけまわされる。また、昔3日間だけ結婚していたエルヴィーラにも追いかけられ、更に結婚式の日にナンパしたツェルリーナとその夫マゼットが加わり、悪事を吊し上げられる。どうしようもない男だが、傲岸不遜で反省などしない。最後は騎士長の亡霊である石像が晩餐の席に現れ、悔悛を迫られるがここでも拒み通し、地獄に落とされてしまうという話である。 
 モーツアルト特有の軽快なリズムに乗り、他愛もない喜劇のようなドラマティックな話が展開していく。この日主役を演じたのは、現在望みうる最高の「ドン・ジョバンニ」とも言われる、メトロポリタン歌劇場などで大人気を博すマリウシュ・クヴィエチェン。ドンナ・アンナ役をアガ・ミコライ、エルヴィーラ役をニコル・キャベル、騎士長役を妻屋秀和が演じる。
ドン・ジョバンニ」のような男にムカつくか、羨ましいと思うか。タイガー・ウッズか、石田純一か、はたまた光源氏か、塩谷瞬か......。男ならどちらの気持ちもあろうが、2065人ともなるとスケールがでかすぎて、喜劇としか思えない。