神楽坂のキャリアコンサルタント

永らく「神楽坂のキャピタリスト」のタイトルで発信をして参りましたが、この度タイトル名の変更を致しました。

日米の野球を考える(6)-オーナーたちの錬金術

macky-jun2011-08-31

  MLBでは球団の売買が多く、頻繁にオーナーが変わっている。球団オーナーにとってチームのM&Aは金のなる木である。メジャー経営は儲かるから人気だ。ブッシュ前大統領もレンジャーズの共同オーナーを89〜94年まで務め、私腹を肥やした一人である。
 MLB30球団の内、単一企業による保有は5球団のみである。残り25球団の内、9球団が個人保有、16球団が複数企業や個人投資家のファンドによる共同出資である。メジャー球団名には地域の名前がつく。地域を代表するブランドとなる。万一、移転でもされれば、MLBに捨てられた街というレッテルを貼られてしまう為、地方自治体の首長はオーナーの言いなりに資金を出すこととなる。
 移転すると脅しをかけ、新球場を建設したチームは幾つもある。シカゴ・ホワイトソックスフロリダ州タンパ移転を梃に、全額公費で調達した。91年から06年にかけて新球場を建設した17球団の実質コスト負担は3割程度にすぎない。すなわち建設費の7割が住民の税金負担である。自己負担ゼロで370億円の豪華な新球場を手に入れ、おまけに球場が生み出す収入はそっくり球団のものにするという有利な契約までした”つわもの”もいる。当時ミルウォーキー・ブルワーズのオーナーだった、現コミッショナーのアラン・セリグである。
 MLB球団は30球団しかない。誘致をしたい自治体にとっては慢性的に枯渇感があるのだ。このプレミアム効果が球団オーナーにとっての切り札となり、自治体に厳しい条件を要求する強気な姿勢となっている。12球団しかない日本ブロ野球にはもっとブレミアムの付いた価値があるはずだが…。さて、錬金術の仕組みはまだまだある。次回はもっと詳細に見てみたい。
 写真は前回シティフィールドのグラウンド部分です。豪快ですね。