神楽坂のキャリアコンサルタント

永らく「神楽坂のキャピタリスト」のタイトルで発信をして参りましたが、この度タイトル名の変更を致しました。

日米の野球を考える(3)-日米選手の年棒格差

macky-jun2011-08-23

  MLB選手の一人当たり年棒は3億円であるという。一方、NPBは一軍のみで6948万円、二軍も含めば3800万円であり、MLBとの比較では1/4、1/8となる。相当な年棒格差があるのだが、一般のサラリーマンからすれば遥かに高収入だし、MLBではサラリーマンの生涯賃金と同じ位稼いでしまう、正に夢の職業であろう。
 しかし、選手寿命の短さと第二の人生の難しさを考えれば、決してそんなに高いものではないじゃないだろうか。先日、かつてヤンキース外数球団を渡り歩いた、剛腕投手の伊良部が自殺するという悲劇があった。彼の場合は性格の問題もあったかもしれないが、若い頃からスポーツ一途でやってきた選手の引退後の人生設計は難しいと思わせた。
 さて、話は戻って、MLBの総収入が6000億円、NPBが1200億円であり、5:1と大差があるが、チケット収入では大差がないので、TV放映権料、スポンサーシップ料、マーチャンダイジング収入、ネーミングライツ収入などの差になる。特に全世界に配信できるTV放映権料の差が大きいようだ。1チーム平均にすれば、MLB200億円、NPB100億円であり、中堅企業並みの売上高である。
 年棒総額はMLBが3600億円(=@3億円×40人×30チーム)、NPBが外人選手を含め推定350億円である。総収入に対しての分配率はMLBの60%に対して、NPBの30%ととても低い。NPBではある意味で選手年棒を抑え、効率的な経営が出来ている様に思うのだが、その他費用(監督コーチ・職員人件費、球場維持費、試合運営費ほか)が大きく、営業損益ベースでは殆どの球団が赤字であると言われている。
 さて、もう少しミクロな話をしてみよう。「ヤンキースの内野陣はうちのチームの総年棒より多いじゃないか!」とブルワーズのオーナーが噛みついた。その数字を調べてみると、M・テシェイラ(1B)19.4億円、R・カノ(2B)8.5億円、A・ロドリゲス(3B)31億円、D・ジーター(SS)21.2億円で、4選手の合計がなんと80.1億円である。一方、ブルワーズの総年棒が76.2億円であった。
 更に調べてみると、ブルワーズばかりか半分以上の16チームがヤンキースの内野陣4人の年棒を下回っていた。中でも極端に可哀そうなのは、パイレーツの総年棒が32.8億円であり、A・ロドリゲス一人の年棒とあまり変わらないという事実だ。経済格差があるのがMLBの現実であり、とても残酷な世界でもある。
 写真は旧ヤンキースタジアムです。