神楽坂のキャリアコンサルタント

永らく「神楽坂のキャピタリスト」のタイトルで発信をして参りましたが、この度タイトル名の変更を致しました。

「超訳 ニーチェの言葉」

macky-jun2011-04-24

 白鳥春彦氏の「超訳 ニーチェの言葉」という本が大変売れているようだ。ニーチェという一見難解な哲学者のことを書いた本がいま何故注目を浴びているのか、と出てすぐに平積みされているのを見てそう思った。哲学書というのは日本では売れないというのが定説だからである。実は私自身はパラパラと書店で立ち読みしただけなのだが、著者が解り易くニーチェを料理して、意訳を付けており、魅力的だと思っていた。
 昨日の日経夕刊に記事が載っていて、幾つか気を停めることが書いてあった。「これまでの哲学者の名言集は大所高所から人生について説教していますが、分かりにくいし、いかにも何かが書かれているようで何もあからさまに書かれていなかった。」「効率主義や金もうけの方法などがまかり通り、人生について誰も本気で言わなくなった。」そんな時代に書かれた稀有な本だから、むしろみんなの心を捉えたのだろう。
 震災の被災者は本や活字に飢えている。そこに書かれている力強い言葉を求めている。白鳥氏は被災者にこそニーチェの言葉を読んでほしいと言う。
 例えば「超訳」の中の232の言葉の中に、「恐怖心は自分の中から生まれる」 とある。家や財産や愛する人を失った人は絶望に苛まれているだろう。しかし、自分の能力や感性を失ったわけではない。恐怖心は自分自身の心のありようなのだから、将来をいかようにも変えることが出来る。
 「事実が見えていない」 多くの人は自分の思いや執着、感情や勝手な想像にこだわり、真実を見ていない。しかし、今ある事実しかない。・・今を生きるということです。
 被災された人ばかりでなく、平穏な状態にいる我々にとっても深く浸みいる言葉です。