神楽坂のキャリアコンサルタント

永らく「神楽坂のキャピタリスト」のタイトルで発信をして参りましたが、この度タイトル名の変更を致しました。

東電問題(2) 東電株の行方は

macky-jun2011-04-08

  福島原発事故を起こしている東京電力の株価が当然のことながら急落している。今年の最高値が2197円で、3/11終値が2121円だった。それが最低値292円まで下がった。1ヶ月も経たないうちに1/10近くにまで下がってしまった。このあと、東電株はどうなっていくのだろうか?株価がどう決まるかというのは一概には言い難いが、長期的には会社の純資産価額を株式数で割ったものになる。もしくは将来生みだすであろうキャッシュフローで決まっていく。
 焦点となるのは今次事故での補償金額がどうなるのかというのが大きい。現時点で試算は難しいようだが、事故処理と住民補償負担で数兆円にのぼると言われている。厖大な負担から、一時国有化も検討されている。過去にも銀行やJALなど経営が立ち行かなくなった企業が国有化されてきた。国有化されれば、現在の株については100%減資が行なわれるので、株は無価値となってしまう。
 しかし、東電のケースでは国有化しなくても国が支援できる仕組みがあるのだ。原子力損害賠償制度の存在である。「異常に巨大な天災地変」によって生じた損害については東電は免責となるからである。しかし、具体的にはどこまでを免責するかは国が決めるのである。リスクの高い原発事業を民間会社がやっていく為に、政府のバックアップがある。政府と東電の責任部分をどの位にするかで、東電の株式価値も決まっていく。東電の株主資本金額は10/12連結ベースで2.9兆円である。だから、東電負担金額がそれを上回れば、東電の株式価値はやはり無くなってしまう。
 東電株は安定的な配当収入が期待できたので、個人投資家が多い銘柄であった。4割程度が個人株主であった。これら株主は長期保有することが多く、また優良銘柄として投資信託にも数多く組み入れられている。東京電力は就職先としても安定的な職場として、大学生にとても人気があった。今年の新人1300名は1名の辞退もなく、新社会人生活をスタートしたようである。しかし、内定時の誇らしい気持ちと比べ、今は不安でいっぱいのスタートとなったことだろう。この世の中で安定したものなど何もないことの証であろう。「無常」という言葉が胸に突き刺さる。