神楽坂のキャリアコンサルタント

永らく「神楽坂のキャピタリスト」のタイトルで発信をして参りましたが、この度タイトル名の変更を致しました。

(18)牛込神楽坂駅のOさん

macky-jun2011-01-14

 牛込神楽坂駅駅員のOさんに「明日で異動になります」と挨拶をされた。Oさんとは大江戸線開業以来のお付き合いなので、かれこれ10年にもなる。開業時から同駅勤務となり、途中、新宿西口駅牛込柳町駅に移ったが、また昨年、牛込神楽坂駅に戻ってこられたので、とても喜んでいた。駅員さんと話をするのは稀である。ある切符の精算の件で親しくなったのがきっかけだった。以降、いつも丁寧に挨拶をしてくれ、朝晩に元気を頂いている。今日は最後ということもあり、暫く立ち話をした。
 駅長試験に受かって、4月から都営線の他の駅の駅長さんになるとのこと。それまでは駅長研修を受けるようである。彼は大江戸線開業要員として、都交通局で50名採用された時の一人で、まだ30代前半であろうから随分と早い出世なのだろう。牛込神楽坂駅に大変な愛着を持っていたようで、神楽坂の街が気に入り、家を探したこともあったという。彼のような気さくでありながら、礼儀正しく、かつ地下鉄の仕事を愛している駅員さんばかりであれば、この乗り物はどんなにか素晴らしかろう。
 毎日、私は通勤には都営線しか使っていないが、当然ながら地下鉄ファンである。三田線の朝はとても混んでおり、何とか乗れる乗車口を探すほどなので、あまり好きな線ではない。ときにいい大人が押した、押されただので喧嘩していることがある。余裕のない奴ばかりで、実に情けない。駅も殺伐としている。一方で、大江戸線は空いている上に、6の字型の環状線なのでどこへ行くにもアクセスがいい。江戸の古くからの街並を通っているのも風情があっていい。また、環状部の26駅に建築家のデザインコンペの結果、選ばれた各駅ごとに個性豊かな駅デザインが為され、パブリックアートも多数置かれている。要するに大江戸線の駅はとても居心地がいいのだ。
 ドイツのFrankfurtやイギリスLondonの地下鉄駅もデザインが素晴らしく、お洒落で感心したことがある。ここ牛込神楽坂駅のデザインは負けておらず、東京の地下鉄駅の中でも最も美しい駅の一つではないかと身贔屓ながら感心している。設計者の前田雅之氏(空間工房)は「牛込は長い歴史に裏付けされた町。そんな空気を駅に刷り込み、黒塀の家並みや曲がりくねった路地、坂道などの情景をもとに、町と一体化させたデザインで駅を構成することを試みた」と話している。黄土色系で「地層」をモチーフにしたデザインがされている。長いコンコースも退屈させないような工夫が為されている。10年経っても飽きのこない空間だ。
 駅長となるOさんには地元駅で会えなくなるのは寂しいが、またどこかの駅で会えそうな気がする。