秋葉原で業界の盛衰を見る

　書斎にあるDENON製システムコンポのCDプレイヤーが壊れてしまった。元より10年前に買ったもので、ここ２年位は突然音飛びをしたり、どうしようもない状態だったが、騙し騙し使ってきた。しかし、遂に耐え切れず、修理に出そうと思い立ち、機器を修理センターに持ち込もうとしたが、湯島にあった筈のセンターが戸塚に移転していた。
　DENONは元々はコロンビアのオーディオ部門だったのだが、外資ファンド（リップルウッド）が入り、事業再生を行ない、組織も今やバラバラになった。D&Mホールディングスという会社の傘下で、DENON（デンオン→デノンと呼ぶようになった）と日本マランツを治めている。更に驚くべきことに、ハイエンドオーディオのMcIntoshをも子会社として持っているのだ。
　気を取り直し、ネットで検索し、修理をやってくれそうな所を探すと、「コンポの病院　倉持」というたぶん個人でされている埼玉にある工房に辿り着く。ここはDENON製のオーディオの修理実績はかなりあるようだった。症状を書き、ネットで問い合わせるとすぐ回答あり。ピックアップユニットの交換が必要とのことで、1.1〜1.5万円も費用はかかるとのことだったが、モノに対する愛着の強い私は治すことにした。以前にも、海外で5〜6万円で買ったGold Pfeilの革の鞄を3万円もかけて修理をしたことがあった。その位モノ持ちがいいのだ。
　機器を郵送し、診断してもらうと、ピックアップユニットを中国から輸入し、試してみたが、マイコン自体が壊れているので修理不能とのこと。倉持さんにはわざわざ部品を輸入までして調達して頂いたにもかかわらず、治らなかったので費用はいりませんとのことだった。おまけに親切にも、現アンプとの相性のいいDENON製CDプレイヤーまで紹介してくれた。もし、修理ニーズがあったら、右記URLをご覧ください。http://www2.hp-ez.com/hp/compobyouin/top　とても親切に対応してくれますよ。
　結局、今日秋葉原に出かけ、ヨドバシカメラでDENONシスコンの後継機種となるCDプレイヤーDCD-F107（正価37,800円）を25,800円＋ポイント10%で買ってきた。所詮、シスコンなのであまり高いモノは買うつもりはなかった。メイン機はリビングにあるMcIntoshで充分だ。久しぶりにオーディオ製品を買うとあって、ダイナミックオーディオや石丸電気をも見て回った。かつてこの街には何度もオーディオを買いに来た思い出がある。
　高校時代にPioneerのヘッドフォンやAIWAのカセットデッキを駅前のラジオ会館で買って以来、第一家庭電器やサトームセン・・・にも通ったが、いまやこれらの店はもはや無くなっていた。妹や弟のオーディオを買いに来たのも、第一家庭電器だった。オノデンのあった所は駐車場になっていた。ヤマギワリビナは店を閉鎖したままだ。当時、秋葉原で一番勢いのあった石丸電気もいまやエイデンとデオデオが合従連衡してできたエディオングループの傘下にある。本店はこんなに狭かったかなと思ったくらいだ。ここでは新婚時代、家電製品をたくさん買った。また、第一家庭電器は中国資本の傘下に入った。
　一方で、電気街とは反対側の開発エリアに後から乗り込んできて巨艦店を作ったヨドバシカメラは物凄く流行っていた。テレビやPC売り場のレジは行列が長くできていた。家電業界は合従連衡が進み、ヤマダ電機とヨドバシカメラとビックカメラ等数社の寡占化になりそうだ。家電品の種類が物凄く多様化してきているので、大型店舗でないと顧客を呼べなくなっている。また、上記会社が勝ち組となった背景には物流とシステム化の差であると言われている。かつて家電業界担当でもあった些か旧い知見でありました。久しぶりに秋葉原を歩いて、家電業界の盛衰を見た思いだ。