神楽坂のキャリアコンサルタント

永らく「神楽坂のキャピタリスト」のタイトルで発信をして参りましたが、この度タイトル名の変更を致しました。

名画座に

macky-jun2010-09-23

 秋分の日であるが、朝から激しい雨が降っている。地元にある名画座飯田橋ギンレイホールに行ってきた。以前、このブログで書いたこともある「新しい人生のはじめかた」と「マイ・ブラザー」の2本立てだった。http://d.hatena.ne.jp/macky-jun/20100128/1264688738 封切映画というものは観たいなと思っていても、忙しさにかまけているうちに終わってしまう。だから、名画座という存在は有難いのだ。DVDレンタルで観ればいいじゃないかという考えもあろう。しかし、大スクリーンと迫力のある音声、そして目の前の作品のみに集中できる空間は映画館でないと味わえないものだ。
 「新しい人生のはじめかた」(Last Chance Harvey)は2008年のイギリス映画であるが、日本では今年の初春に公開された。ダスティン・ホフマン演じるアメリカの落ち目のCM音楽作曲家ハーヴェイ(62歳)と、エマ・トンプソン演じるイギリスの空港にある統計局で働く、婚期を逃したケイト(45歳)。バツイチのハーヴェイが実の娘の結婚式にロンドンにやってくる。そこで偶然、ケイトに出会うことになる。人生の折り返し点を過ぎた2人の男女は、それぞれの生活が必ずしもうまくいっていない。仕事人間なのにクビを告げられ、結婚式では再婚した元妻に出会い、周りの雰囲気にも溶け込めず、寂しさを味わうハーヴェイ。娘の結婚のみが関心事項の退屈した母親の電話に追い回され、合コンに出ても浮いてしまい、縁遠いケイト。この2人の大人の男女の恋愛を絶妙なタッチで描いた秀作だ。名優2人がロンドンの美しい街並みをバックに展開するストーリーは爽やかだ。
 「卒業」で若者のぎこちない恋愛を演じていたダスティン・ホフマンが、皺も目立つ老境に入り、またぎこちない大人の恋愛を演じていることに、とっても懐かしさを感じると共に、極めてその対称が面白かった。若かろうが、年寄りだろうが、真剣な恋愛においては人間はぎこちなくなくなるものだろう。仮に自分自身に照らしてみても、そのようである。人間は幾つになっても、どんなに人生に絶望しても、新しくやり直すことができるし、考え方一つで人生はとても楽しいものになる、というのがこの作品を観て感じたことです。
 「マイ・ブラザー」(Brothers)は2009年のアメリカ映画。これもハリウッドの大スターが出演している。主役の夫役サムをトビー・マグワイア、妻役をナタリー・ポートマン。サムの弟役をジェイク・ギレンホール、この彼がよかった。戦争後遺症に悩み、家族が崩壊していく様子が描かれ、これに立ち向かう妻や弟の家族愛がテーマになっている。「スパイダーマン」でしか知らないトビー・マグワイアと、「スターウォーズ」アミラダ姫でしか知らないナタリー・ポートマンが、”普通の人間”を演じるのが面白かった。
 戦争の悲惨さ、非人間性を描いたものは多いが、戦争後遺症を扱ったものに「ディア・ハンター」があった。戦地アフガニスタンでサムは捕虜に捕られられ、厳しい拷問に会い、戦友を殺させられる。それがトラウマになり、救出され帰還したものの、精神に異常をきたす。一方、弟のトミーは刑務所上がりで、一家の厄介者扱いで、父親ともよく衝突する。英雄の兄貴と比べられ、劣等感を感じつつ、ナタリー・ポートマン演じる兄嫁に魅かれていく。壊れていく家族・・・最終的にこの家族の運命や如何に・・・。