神楽坂のキャリアコンサルタント

永らく「神楽坂のキャピタリスト」のタイトルで発信をして参りましたが、この度タイトル名の変更を致しました。

(17) 赤城神社のリニューアル

macky-jun2010-09-20

  昨日は赤城神社の秋祭りをやっており、神楽坂は人出が物凄く多かった。周辺の町内会ではそれぞれ神輿を担いでおり、賑やかな声がこだました。牛込総鎮守の赤城神社は地元の氏神様であり、我が家では七五三のお祝いも厄除けのお祓いも、ここでして貰った。
 先般、建て替えを済ませ、今年の秋祭りがお披露目の場となったようだ。現在最も注目されている建築家の一人、隈研吾の設計監修に依るものであり、モダンな白い広い石段の上にある神社に生まれ変わった。夜店で買った物を広い石段に腰掛けて食べている風景はさながらローマのスペイン階段か。そういえば先般行った根津美術館隈研吾による改築であった。古きものを新しきコンセプトで生まれ変わらせるのが得意な人なのだろう。北側が崖になっているので、石段の頂きにある神殿はあたかもオリンポスの神殿のようである。
 赤城神社はここ新宿区でも歴史の古い格式のある神社で700年以上の歴史があるらしい。元は早稲田田島村にあり、1460年に太田道灌により牛込台に遷され、1555年に大胡氏(牛込氏)により現在地に遷された。1683年には徳川幕府により、日枝神社神田明神と並び江戸の三社に加えられ、牛込総鎮守と崇められた。
 赤城神社の境内は鎮守の森と呼ぶのに相応しい、都会には珍しい、広い境内を持っており、清新な空気が流れる場所であった。この敷地にマンションを建て、社を新築するという話を知った時には、妻と共に憤慨したものだった。妻は罰が当たるのではないかとまで言った。我が家に近い若宮八幡神社でも10数年前に同じようなことがあった。この神社も1184年に源頼朝奥州藤原氏を討伐する折に、ここで戦勝祈願し、平定後この地に鎌倉鶴岡八幡宮若宮八幡宮を祀った、という由緒のある神社だ。ここでもマンションが建ったが為に境内はうんと狭くなってしまった。
 神社も宗教法人として税の恩典は受けながらも、経営の視点は必要であろう。税制上の優遇がありながら、マンション経営や分譲販売をするのは、どう分けて考えるべきなのか、詳細は知らないのでコメントは控える。三井不動産の提案で行なわれたという”赤城神社再生プロジェクト”。再生が必要な程、財務的に厳しい状態にあったのかは私は知らない。しかし、定期借地権付きのマンションとして分譲したことは、最終的に神社も土地を手離すことなしにCashを得ることなので、提案としては魅力があったのだろう。少子高齢化で幼児の確保が難しくなっていた赤城幼稚園を閉園したので、その土地の有効活用からおそらく話が始まったのであろう。神社本殿丸ごと新築してしまおうという大胆な提案は面白い。全国至る所で、寺社経営に苦労されている宗教法人は多い。”赤城神社再生プロジェクト”は他にあまり例のない先進事例ということなので、参考になろう。
 古(いにしえ)の昔からそうであったように、神社や寺は人々の集まる場所であった。祭りの時に関わらず、生活と密着していた。しかし、近来は日常的には身近な場所ではなくなった。賛否両論あろうが、神社と言うのはこうあるべきという発想からぶっ飛んだ、近代的な神社像が地元の赤城神社で誕生したことは悦ばしく思う。ざっと新しくなった赤城神社を見る限りではお洒落な集会所やカフェや「参集殿」「神楽殿」などの施設があり、そうした人の集まる空間づくりに配慮していることが伺われる。若者も集まるセンスのある空間になることを期待したい。