神楽坂のキャリアコンサルタント

永らく「神楽坂のキャピタリスト」のタイトルで発信をして参りましたが、この度タイトル名の変更を致しました。

アラン「幸福論」から

macky-jun2010-07-09

 「幸福だから笑うわけではないのだ。むしろ、笑うから幸福なのだと言いたい。」
 「人間には、自分以外にはほとんど敵はいない。人間は、自分の間違った判断や、杞憂や、絶望や、自分に差し向ける悲観的な言動などによって、自分自身に対していつも最大の敵なのである。」
 「私の考えでは、幸福の秘訣のひとつは自分自身の不機嫌に対して無関心でいることだと思う。相手にしないでいれば、不機嫌などというものは、犬が犬小屋に帰って行くように動物的な生命のなかに落ち込んでしまうものだ。」
 「生活が苦しければ苦しいほど、よく苦痛に耐え、よく楽しみを享受するものだ、とさえ言いうるだろう。単に、これからさきに起こるかもしれない不幸まで予見する暇がないからだ。・・・自分の過去や未来のことを考える人は、完全に幸福になれない。・・・要するに、自分のことを少しも考えないことだ。」
 これらの言葉はフランスの哲学者アラン(1868〜1951)が著した「幸福論」(1925年刊)からの抜き書きである。なお、アラン(Alain)はペンネームであり、本名はエミール=オーギュスト・シャルティエ(Emile-Auguste Chartier)である。アランは10数年間、毎日欠かさずに「プロポ」(言いたいこと)と題する短文をルーアンの新聞に書いた。自由な思考をなによりも尊ぶアランの話題は、幅広く、哲学、宗教、道徳、芸術、文学、歴史、政治、俗事、身辺雑事、とまことに多岐にわたるのだ。後にそれがテーマ別に編集され、刊行された。「幸福論」も原題は「幸福についてのプロポ」であり、93篇からなる、読者を静かな思索と反省に誘ってくれる文章だ。
 現代で言えば、自分の言いたいことを、連日書きまくったブログが、テーマ別に編集されて、本になったようなものだろうか。そういえば、私のこのブログも毎日とはいかないが、あっち行ったり、こっち行ったりの、焦点の定まらない雑多なテーマで書き殴っている。内容としては、とてもアランの足元にも及ぶものではないが、カテゴリー分けが似ているのには、一人ニンマリとしてしまったのだ。