神楽坂のキャリアコンサルタント

永らく「神楽坂のキャピタリスト」のタイトルで発信をして参りましたが、この度タイトル名の変更を致しました。

ポルトガルに学ぶ「今日よりよい明日はない」

macky-jun2010-04-13

 アマリア・ロドリゲスの歌う「暗いはしけ」が哀愁たっぷりに流れている。欧州の西の最果てにあるポルトガルの民俗歌謡であるファドの1曲である。ポルトガル語に「サウダージ」という言葉があるが、通常「郷愁」と訳されるようであるが、単なるノスタルジーではなく、失われたものへの切ない思い、取り戻せない過去への慕情、追い求めても得られない憧れのようなもの・・・といったニュアンスが籠められた言葉らしい。
 ポルトガルのことわざに「今日よりよい明日はない」という言葉があるようだ。玉村豊男の同名の本を読んでいる。確かに、今日よりよい明日を求めるから、人は思い煩う。よりよい明日を、より豊かな暮らしを、という際限のない欲望が膨らみ、人を苦しめる。現実には自分が思い描いた明日は必ずしもやって来ない。そこで、挫折感、絶望感に打ちのめされる。そのくびきから解放されたら、人は幸せだろう。
 ポルトガルは15世紀から16世紀にかけて、世界の7つの海を制覇した国である。バスコ・ダ・ガマ喜望峰を経て、インドに航海し、1500年にはブラジルを植民地化する。16世紀にはスペインと2国で欧州以外の世界中の国を分割した程の覇権国家であった。しかし、その後イギリスやオランダ等の新興国家の出現で、衰退する。栄華を極めたのちは緩やかな下り坂の歴史だった。
 すべての栄華は16世紀に置いてきて、その後の500年にはそれを超える発展は生まれなかった。「今日よりよい明日はない」という言葉は、自国のそのあたりの歴史から生まれたのだろうか。