神楽坂のキャリアコンサルタント

永らく「神楽坂のキャピタリスト」のタイトルで発信をして参りましたが、この度タイトル名の変更を致しました。

「The Black Swan」

macky-jun2010-02-23

 「ブラック・スワン」(ナシーム・ニコラス・タレブ著、ダイヤモンド社)という本を読み始めた。「不確実性とリスクの本質」という副題が気に入ったから珍しく、上下巻で各1890円もする本を買った。実は、ブックオフを2軒も探したが、半額でも売っていなかったから、しょうがなく正価で買ったのだった。せこいね〜。知と文化に金を出し惜しみしてはならない、というのが若い頃からの自戒でもあったのだが、さすがきょうび懐寂しく、なかなかそうも言っちゃられねえ。
 昨年6月に邦訳された全米ミリオンセラー本だが、「歴史、哲学、心理学、経済学、数学の世界を自由自在に駆け巡り、人間の頭脳と思考の限界と、その根本的な欠陥を解き明かす超話題作。」と帯にはある。なんだかとても面白そう!
 内容を紹介すると「ブラック・スワン(黒い白鳥)とは、まずありえない事象のことであり、次の三つの特徴を持つ。予測できない異常なこと、非常に強い衝撃を与えること、そして、いったん起こってしまうと、いかにもそれらしい説明がでっち上げられ、実際よりも偶然には見えなくなったり、予め分かっていたように思えたりすることだ。Googleの驚くべき成功も、9・11も黒い白鳥である。」
 社会生活にかかわる研究では、ほとんどすべてが「普通」にばかり焦点が当てられている。タレブは「ベル型カーブ(いわゆる正規分布)」を徹底的に敵にして、壮大な知的詐欺(GIF:Great Intellectual Fraud)と攻撃する。複雑でどんどん再帰性が高まる現代の環境では、通念はまったく通用しない。
 私の仕事であるベンチャーキャピタルというのは、不確実である未来に対して、リスクが何であるかを予測しながら賭ける仕事である。常に「不確実」と「リスク」が付き纏うのであり、いつもそれに振り回され、蹴飛ばされているのが実情である。一昨年のリーマンショックが起きた時、「不確実性とリスクの本質」とはいったい何であろうか、という思いがとても強くなった。また、人は何故バブルに踊らされるのだろう?ということも、バブルに踊ってしまった自分への自戒の念を込めて、研究してみたくなった。謂わば、これらは壮大なライフワーク的テーマであろうと思う。結論は到底出ないであろうが、経済学だけでは解決できず、この「ブラック・スワン」が一つの道標になってくれるのではないかという期待を抱きながら、読み始めた。また、思ったことを後日書いてみたい。