マオとヨナ

　　浅田真央とキム・ヨナがハイレベルな戦いを繰り広げた。今日の午後１時過ぎ（日本時間）は世界中で活動が止まったかのようだった。特に日本と韓国はそうであったようだ。私も外出途中で、さる電気店のテレビでこの模様を眺めたのだった。ビジネスマンたちが同じことを考えるのか、多数既に群がっていた。
　トリノの荒川静香の興奮が甦る。観るこちら側も緊張する。結果はショート、フリー共に完璧な滑り・演技を魅せたキム・ヨナが歴代最高得点をマークして圧勝した。惜しくも銀メダルに終わった浅田真央も２回もトリプルアクセルを完璧に飛び、観客を魅了した。同じ歳で生まれ月も一緒の19歳の二人は、ジュニア時代からずっと好敵手であり続けた。前回トリノは二人とも年齢制限で出場できなかった。ここ数年はどちらかが勝ったり負けたりを繰り返してきたが、激しいライバル関係で切磋琢磨してきた間に、他の選手との間に実力の差が生まれたようだ。バンクーバーの戦いは、点差に表れない、二人だけの孤高の戦いであった。
　日本は選手層が厚く、誰が出てもメダル候補なのだが、唯一人、国の期待を一身に背負い、プレッシャーに負けることもなく、完璧に滑り終えたキム・ヨナの精神力には驚いた。個人的にはショートプログラムの「００７のテーマ」が色気があり、好きだ。いずれにしろ、二人はそれぞれがいたからこそ、ここまでの高いレベルの極みに達したのだろう。マオとヨナ、この二人の好敵手を共に祝福したい。