神楽坂のキャリアコンサルタント

永らく「神楽坂のキャピタリスト」のタイトルで発信をして参りましたが、この度タイトル名の変更を致しました。

浅田次郎にまたまた嵌まる

macky-jun2010-02-17

  昨日は、浅田次郎天国までの百マイル」を読み終わった。今日からまた浅田先生の短編集「月島慕情」を読み始め、最後の「シューシャインボーイ」から読み始め、帰りの電車で不覚にも、涙がこぼれそうになった。何で泣けてしまうのだろう。彼の小説を読むと、自分に小説は書けないなと思わされる。その位、ストーリーが面白く、心の琴線に触れ、涙腺が緩んでしまう。
 何故、短編集を最後の話から読んだのか?パラパラとめくったら、主人公が52歳の銀行員だからだった。主人公の塚田は勤める銀行の大合併で、早期依頼退職制度の推進が最後の仕事となった。人事部副部長として首切り役をさせられたが、半期で60人の首を切った後に自ら辞表を書いた。52歳の元銀行員を受け入れる職場などないなと思いながら、非上場の給食会社の社長車ドライバーになる。しかも、経歴を高卒の銀行車輛課勤務とごまかしながら採用される。塚田はいかにも「ボス」の異名が相応しい経営者鈴木に好感を抱く。
 この後、塚田と鈴木の間で、劇的ともいう話が展開する。しかし、結末まで行ってみると、ああ、あるべき所に収まったなと思えた。塚田のけれんみのない、欲のない生き方が好きだ。浅田次郎の小説には、幸田真音や黒木亮や真山仁の小説に出てくるようなビジネスエリートは登場しない。仮にエリートだったとしても、そこから転落したり、どこか冴えない企業戦士が多い。だけど、生き方には味があり、思わず共感してしまう。それに共感してしまうということは、欲のない自分に似通っているからだろうか。
 ところで、「天国までの百マイル」はとても素晴らしい小説だった。バブル崩壊での企業倒産、離婚、親の危篤、兄弟や家族との関係、恋愛・・・あらゆる現代人を取り巻くテーマが満載されている。詳しくは書かないが、既に10年位前に映画化もされているようだが、御一読をお勧めする。