神楽坂のキャリアコンサルタント

永らく「神楽坂のキャピタリスト」のタイトルで発信をして参りましたが、この度タイトル名の変更を致しました。

 山崎豊子讃

macky-jun2009-12-14

  我が家の娘Saoが「不毛地帯」に嵌まっている。今日も帰ってくると、HDD録画の過去の収録ドラマを観ていた。おまけに大学の図書館から、山崎豊子全集の「不毛地帯」1.2巻を借りてきた。確かにこの番組は人物の設定が面白く、演じている役者も芸達者な人が多い。主役の唐沢寿明はじめ、妻の和久井映見天海祐希・・・巧い人が多い。だけど、何よりも原作が凄いからだろう。山崎豊子・・・既に85歳になる作者は、この年で尚パワフルに現役活動を続けている。最近の作品でも「運命の人」で、日米密約を暴いたことで裁かれた元毎日新聞の西山記者を題材にした。これはつい最近、密約が現実にあったことが明らかになって、更に注目を集めた。ドラマ「不毛地帯」の外にも、映画でも「沈まぬ太陽」で腐敗したJALの経営問題を描いている。現在、経営難で苦しいJALにとっては傷口に塩を塗られる思いだっただろう。案の定、山崎は訴えられた。向こう傷は気にしない、逞しい女性である。あらゆる舞台で、大活躍である。
 これまでも、医学界の権力闘争の異常さを現わした「白い巨塔」、銀行合併にまつわる財閥家の不幸で異常な物語「華麗なる一族」、中国残留孤児問題を扱った大型作品「大地の子」を世に出してきた。いずれも、映画化、ドラマ化されており、中には複数回されたものも多い。取材力、問題の突き詰め方が凄く、引き込まれる、熱い作品が多い。
 山崎豊子については、盗作論議や訴訟の類も多い。「日本のバルザック」と呼ぶファンがいる一方で、盗作疑惑が何度も指摘されてきた。参考資料をほとんど脚色せず作品に反映させたために、盗作との指摘を資料の執筆者から何度も受けたようだ。ノンフィクションに近いフィクションを書いている作家なので、実話や歴史本からの引用を生に近い形でやろうとしたためなのか、単なる怠慢か、私は無論知らない。しかし、彼女の作品群と、その訴えかけるテーマの迫力からすれば、これだけパワーを持った女性作家はこれまで歴代、いなかったのではないかと思えるのである。
 こんなことを語る私は、単なるドラマ好きなミーハーかもしれない。しかしドラマで描かれている部分はあらすじであり、彼女の小説は歴史書としても参考になるような深い内容を持ったものであると思う。