神楽坂のキャリアコンサルタント

永らく「神楽坂のキャピタリスト」のタイトルで発信をして参りましたが、この度タイトル名の変更を致しました。

KOBUDO-古武道を聴きながら

macky-jun2009-11-10

  週末に信州の山旅に出て、旧友たちと山道を歩き、温泉を巡り、旧街道の宿場を訪ね、楽しい宴とともにすっかりリフレッシュしてきた。都会にいる間に、人は疲れている。心身ともに再生するために旅というものがあるのかもしれない。
 出かける前は億劫なものだが、いざ出かけて帰ってくると、言い知れぬ嬉しさで充たされる。新しい自分に少しだけ生まれかわれた気がする。
 月日は百代の過客にして、行かふ年も又旅人也。舟の上に生涯をうかべ、馬の口とらえて老をむかふる物は、日々旅にして旅を栖とす。古人も多く旅に死せるあり。古来、人は旅ともっと密接な暮らしをしていた。今のように交通手段は良くない。旅をしながら客死した人も多い。人にとっての旅は今よりもずっと大事な意味を持っていたのであろう。
 私自身がそうであるように、友も歳をとって、互いに他人に対して優しくなれるようになった気がする。若いころはちょっとした些細なことで、傷つけ合ったりしたこともあった。久しぶりに会う50代になった旧友は、他人に対して思いやり深く、思慮深くなっている。我が友は人間的に成熟した、いい仲間が多い。
 BGMにかかっているのは、KOBUDO-古武道というグループの「風の都」というアルバム。チェロの古川展生、ピアノの妹尾武、尺八の藤原道三の和製トリオである。三人の名前から一字ずつ採り、古武道としたようだ。日本人の心に訴えかける、和の音色がとても心地いい。先日、小柄で物静かな旧友から「是非聞いてみて」と、プレゼントされたCDである。ピアソラの「Libertango」、Jazzの名曲「My Favorite Things」の和風アレンジ、「荒城の月」(滝廉太郎)、Prelude「無伴奏チェロ組曲1番」(バッハ)、亡き王女のためのパヴァーヌ(ラベル)と続く、古武道風に編曲された曲の流れが素晴らしい。こんな音楽を勧めてくれる友の思いやりには、グッときてしまう。昔の友にはこちらの波長まで伝わってしまうかのようだ。
 歳をとって益々、友のありがたみがわかってくる。若い頃も、友達はかけがいのない存在であった筈だ。だけど、近頃、旧友の存在が大きくなってきたのは、そんな年代になったせいであろうか。