神楽坂のキャリアコンサルタント

永らく「神楽坂のキャピタリスト」のタイトルで発信をして参りましたが、この度タイトル名の変更を致しました。

(13) 神楽坂は街全体が一つの山

macky-jun2009-08-27

 仕事で疲れて帰る駅のホームの売店で、並ぶ雑誌の中で、”神楽坂”の文字が目に飛び込んできた。「散歩の達人」という私の好きな月刊雑誌で、神楽坂大特集をやっているので、迷わず買ったのだった。神楽坂に住まう者として、情報は何にもまして価値があるので、たいていの神楽坂特集雑誌は買うようにしている。帰りの車中ではずっと集中して、ページを捲ったのだった。仕事でどんより重くなっていた気持ちが、徐々に軽やかになっていくのを感じた。
 日中は仕事に大半の時間を割いているので、つい頭の中の思考も、仕事オンリーになってしまう。今やっている仕事が楽しければ、ウキウキもするし、そうでなければどんよりもする、というものだ。神楽坂の特集記事を読みながら、私はとても愉しい所に住んでいるのだな、と明るい気分になれた。
 この街に住んで、既に22年になる。雑誌で紹介されるお店はけっこう知らないものだ。ここ最近はこの街はとても新陳代謝が激しく、新しいお店がたくさん出来ている。それも従来は住宅地だった地域の民家を改造して、雑貨屋や喫茶店や料理屋に変身しているのである。
 今日買った「散歩の達人」9月号の巻頭言がいいのでご紹介したい。タイトル「和洋・新旧超えて粋!」 ずばり、「東京の小京都」と言いたい。小さいながら寺社もあって、花柳界があって、幾つもある路地でぽわんと灯りがともる風情はなんともしっとりはんなり、なのである。でも、京都と決定的に違うのは、盆地とは正反対の地形、神楽坂は街全体が一つの山みたいなものだということ。和洋・新旧がさまざまに混淆する、その山の魅惑的な稜線、今がシーズンです。(取材・文=下里康子)
 神楽坂を飯田橋駅から上ってくると、山を登っているような印象がある。飯田橋駅の傍には外堀があり、水辺から上ってくることから、とても高い山を登っていく気がする。特に、ヘトヘトに疲れている時のこのルートはきつい。年老いた私の両親は音をあげたものだった。神楽坂通りが稜線だとすれば、小路は沢筋であろうか。沢のせせらぎに当たるのが、個性的な料理屋や飲み屋さんなのだろう。ともに喉と心を潤してくれるところは一緒だ。
 地蔵坂の急登を最後の胸突き八丁と思い、我慢して登ると、ピークに当たる光照寺と出版クラブ会館に出る。そのピークを越えれば、我が家ももうすぐだ。