神楽坂のキャリアコンサルタント

永らく「神楽坂のキャピタリスト」のタイトルで発信をして参りましたが、この度タイトル名の変更を致しました。

「夕凪の街 桜の国」に出会えた

macky-jun2009-08-23

涼しい高原気候の信州から帰ってくると、東京の暑さが身にしみる。特に昨日、今日の蒸し暑さは酷いようだ。じっとしていても汗が吹き出すし、ベトベトして不快である。金と時間に余裕のある人々が、軽井沢とか信州の高原の別荘に、夏の間じゅう引き籠もるという気持ちがよくわかる、そんな都会の湿度である。
 今日はいつものように午前中はジムに出かけ、図書館に寄って帰る。予約していた宮台真司の「日本の難点」を受け取りに行き、たまたま戦争特集コーナーを覗くと、昔から探していて一向に手に入らなかった、こうの史代の漫画「夕凪の街 桜の国」があるではないか。広島原爆から10年の後、原爆後遺症で死んでいく女性の可哀そうな話である。「夕凪の街」は以前読んだことがあった。ただ悲惨なだけではなく、原爆症という現実に対し、淡々と、強く立ち向かう女性の生き方を抒情的に描いており、独特のタッチの細い線の絵はとても綺麗だ。
この作品は3部構成である。第1部「夕凪の街」は被爆した平野皆実が23歳で亡くなるまでを描いている。第2部「桜の国(1)」は現代編で皆実の姪の石川七波の少女時代、第3部「桜の国(2)」で成人した七波と弟、父母の若い頃の回想シーンが感動的に綴られる。舞台となる時代が変わることで、直接被爆者ばかりでなく、被爆2世として現在までも原爆症の再発の不安を引きずって生きている人々がいることを語っている。
 淡い、優しい絵であるが、訴えかけるものはとても深いものがあり、しばしじっと本を片手に感じ入るものがあった。何度か繰り返し、ページをめくり返してみた。