神楽坂のキャリアコンサルタント

永らく「神楽坂のキャピタリスト」のタイトルで発信をして参りましたが、この度タイトル名の変更を致しました。

外山滋比古著「思考の整理学」再びブレイク

macky-jun2009-07-16

 会社でPCのデータを整理しろとの一斉大号令で、作業をすることとなった。各自のメールとファイルを削減しろとのことである。会社のサーバーがパンパンになっているということだ。おまけに誰が一番メモリを食っているかというのが、意地悪にもランキングで開示された。約100人の会社で、私はメールが26位、ファイルが36位だったので、中間よりも若干前という具合である。これを私で言えば、1/5から1/6に削減しなければならない。
 今日の午後は専らこの作業をしていたのだが、思いの外、時間がかかるのである。93/7にこの会社に赴任してから、丸6年である。日々、要らないものは消してきたが、このように一斉に、しかも大胆に消せ、という指示は初めてでもあり、懐かしいメール、ファイルが多々残っていた。作業効率からすれば、重いもの、古いものから無作為にジャンジャン抹殺していけばいいのだが、一つ一つ思いを籠めて、丁寧に仕事をしてきた立場からは、つい振り返ってみたくなる。忘れていた当時の苦闘が蘇ってくる。脳ミソの奥底に仕舞い込んでいた記憶が呼び覚まされるのである。
 結果的には一文の得にもならないどころか、多くのLossを抱えてしまった案件に、当時苦労をして、大変な労力を捧げた痕跡が、メールやファイルに残っているのである。こんなことなら、当時の時間に遡って、作業を中断してしまいたい位である。その時はとてもいい案件であろうという見通しを持って、頑張って取り組んでいたのである。メールのやり取りの中では、人間的な感情をお互いに交換するものもあり、この6年間の仕事の歴史を追うようで、とても楽しいようで、辛い作業でもあった。この感じはわかるだろうか。仕事を通して、多くの人達との交流や蹉跌の歴史がそこにはぎっしり詰まっていた。その為か、削除作業には予想以上の時間がかかってしまった。
 期せずして、ちょうど、外山滋比古著「思考の整理学」を読んでいた。だいぶ前に読んだことがあるが、再読である。いまこの本が秘かにブレイクしているらしい。元々は1986年に文庫化され、着実に版を重ねてきたが、ここ数年で50万部を売上げ、現在は70万部に達したようだ。再び火が付いた理由は、「魔法の帯」にある。2007年、盛岡の書店員松本大介氏が書いた「もっと若い時に読んでいれば・・・そう思わずにはいられませんでした」というポップによる。
 「工場内の整理は、作業のじゃまになるものを取り除く整理である。それが、忘却である。頭をよく働かせるには、この”忘れる”ことが、きわめて大切である。頭を高能率の工場にするためにも、どうしてもたえず忘れていく必要がある。」メールもファイルも、要らないものは消去しないと、PCも、我々の頭脳もうまく働かないのである。