神楽坂のキャリアコンサルタント

永らく「神楽坂のキャピタリスト」のタイトルで発信をして参りましたが、この度タイトル名の変更を致しました。

投資契約の勉強会

macky-jun2009-06-16

   会社で投資契約書の勉強会が開かれた。講師はさる著名な法律事務所の弁護士さんだ。最近の厳しい投資環境を反映し、我々VCの投資スタンスもだいぶ慎重な姿勢が継続している。通常、投資を行なう際は投資先と投資契約を交わすのが一般的である。余談であるが、私が投資業務を始めた10数年前は、国内では投資契約を交わす習慣がなかった。最近はその投資契約の中味も、だいぶ厳しい縛りを入れるのが、業界一般的な傾向のようである。決して、我が社特有の問題ではないようだ。
 それだけ、ベンチャー投資に対するリスクが高まっている証左でもある。内容としては、銀行のシンジケートローンに見られるようなコべナンツ(財務制限条項)を入れたり、買取請求条項を入れたりする傾向が高まっている。VCというのはファンドでの投資を行なうのが一般的なので、常にその期限を気にしながら、EXITをどうするか考えている。公開が出来る業績を上げているにもかかわらず、事情があり公開を止めてしまうケースもある。最終的には潰れない限りは、VCとしてはその株式を誰かに売却せざるを得ない。その時の条件設定を、予め投資時点で決めておこうというものである。
 そのような細かい条件設定をして、リスクヘッジしようというのは、リスクテイクをするのが仕事のVCらしからないとの批判もあろう。基本的に、事業が巧くいかないケースでは金繰りにも窮するから、なかなか取得時に決めた価格での買い取りは難しかろうと思われる。しかし、様々な難しい案件を手掛けるには、まったくの裸では難しく、銀行に近いとの非難もあろうが、VCとしても何らかのリスクヘッジをする必要がある。だが、投資契約はあくまでも精神安定剤であって、その企業の資質や将来性をじっくりと判断するのがキャピタリストの本分であろう。