神楽坂のキャリアコンサルタント

永らく「神楽坂のキャピタリスト」のタイトルで発信をして参りましたが、この度タイトル名の変更を致しました。

リスクとは何か

macky-jun2009-05-30

   今朝の朝日新聞の朝刊を見て、一面記事に「出版界 地殻変動」の大きな文字が躍った。2日前に私が書いた記事とほぼ同じ内容のものであった。出版大手と大日本印刷ブックオフに資本参加するという内容だが、5/13には既に報道されていた追加記事であった。一面に来たということは、よほどニュースネタが無かったのであろう。私自身は何時書こうかと思ってきた記事だった。ずっと温めてきた内容だけに、新聞に先を越されないでよかったと思っている。タイトルも当初「出版業界の地殻変動」で考えていたので、尚更驚いた。
 朝日の記事によれば、出版社側から、コミックのブックオフ売値の1〜2%を作者に還元しろだとか、一定期間は店頭で売るなとかの要望が出ているようである。これまで敵同士だった者の、アライアンスがどのようなものになるか大いに興味あるところである。
 今日の大学院の授業では、「リスクとは何か」という経済学的には根源的なテーマを扱った。一般的にリスクとは「危険」と考えるだろうが、リスクを本質的に意味するのは東洋の漢字である「危機」である。つまり、この漢字の意味するのは、危険(danger)と機会(opportunity)の二つである。リスクを取るということは、危なさと隣り合わせになることであるが、チャンスを掴むということでもあるのだ。この点、ファイナンスでいう「リスク」を取るというのはよりポジティブなニュアンスを持っていると理解している。ファイナンスの世界では、リスクとは、予想することができない「不確実性」をいうのである。
 すなわち、ある会社の株価の値動きが大きく予想がつかない(ファイナンスの世界では、ボラティリティが高い、と言います)のをリスクが高いといいます。バラツキが大きいのをそう言います。そのバラツキを標準偏差という統計で捉えます。皆さんが学生時代にさんざん付き合ってきた「偏差値」の考え方です。ファイナンス理論では、リスク(不確実性、標準偏差)とリターン(収益)の関係を勉強していきます。
 市場リスクというものは、どんなことをしても避けることが出来ません。その中で、リスク分散をすべく、いかにポートフォーリオ(資産の組み合わせ)を組むかと考えることが、ファイナンス理論でもあります。株価同士の相関係数がどうか、市場に対して個別銘柄のβ(個別銘柄の株式市場全体に対する感応度)がどうか、シャープレシオポートフォリオがリスクに見合った運用実績を上げているかを見る指標)がどうかということを考えますが、あくまでも考え方の枠組みに過ぎません。
 市場はリーマンショック以降のマーケットに象徴されるように、予測がつきません。統計学の3/10,000の確率でしか起きない6σ(シグマ)が現実社会では起きているわけです。理論がわかっていても、現実のビジネスではその通りやって、儲かるわけではないのがとても歯がゆいものです。市場環境の変化に翻弄されるのがビジネスマンの宿命だと理解するのが、大人になるということでしょうか。大人になるということはタフになるということと同義なのでしょう。