神楽坂のキャリアコンサルタント

永らく「神楽坂のキャピタリスト」のタイトルで発信をして参りましたが、この度タイトル名の変更を致しました。

「West Side Story」を観て、日韓戦を想う

macky-jun2009-03-27

  今週は休み明けということもあり、とても疲れた。へとへとに疲れて帰ってきて、晩飯を食べて、懐かしいLDで「West Side Story」を観ながら書いている。ニューヨーク・マンハッタンを舞台にしたミュージカルである。映画は1961年の作品なので、48年前、私がまだ3歳の頃だ。ミュージカル自体は既に50周年ということで、記念公演が世界中で為されているようだ。貧しい白人移住者の若者グループ「ジェット団」とプエルトリコからの移民の若者グループ「シャーク団」という、いがみあう、対立抗争の耐えない若者たちの物語である。ロミオとジュリエットのように、それぞれ対立するグループのトニーとマリアが愛し合う。だけど、抗争の中で、マリアはリーダーで兄のベルナルドを失い、ジェット団もリーダーのリフばかりか、トニーも最後には死んでしまう、というまさに、悲劇の現代版ロミジュリだ。
これを観ていて、WBCの米国対プエルトリコの激戦を思い出した。2次ラウンドで当った両者は、初戦はプエルトリコが11−2と圧勝し、更に両者が敗者復活戦で当り、今度は米国が9回裏に逆転し、準決勝になんとか進出するという、まさに死闘であった。プエルトリコは米国の自治領であり、独立国家ではない。国家ではないのに、何故出場しているのだろう、と思いつつ、プエルトリコ出身者の米国に対する複雑な思いを感じた。米国民となった、プエルトリコ移民はもの凄く多い。大リーガーで活躍している名選手も多い。今回のWBCでも、プエルトリコチームも殆どが大リーガーであっただろう。母国アメリカには負けたくないという執念のようなものを感じた。
 米国は元々、移民国家であり、先住民以外はみんな移民である。それにもかかわらず、「West Side Story」のように白人移民と、スペイン系、アジア系移民の間には差別意識がある。私がドイツに住んでいる時も、ターキー(トルコ人)やユーゴスラビアンに対する差別を強く感じた。我々のいる日本でもそうであった。韓国や中国、その他アジアの隣人に対する差別が、過去は根強くあった気がする。しかしながら、日本では外国人数が、近年著しく増えてきて、だいぶそういった意識は薄れてきた気がする。日韓共催だったワールドカップサッカーや、韓流ブームが我々をとても隣人に近づけてくれた。
 今回の5度に渡る、WBCの死闘は歴史に残る闘いであった。途中、第3戦の時に、勝利した韓国選手がマウンドに大旭旗を立てる、という日本人にとっては屈辱とも感じられることがあったけど、総じてフェアで、気持ちの良い闘いができたように思うのである。韓国チーム監督の金寅植キム・インシク)さんは、とても謙虚な人柄で、負けた晩は眠れなかったそうだが、日本の勝利を讃えていた。好きになった。我が日本チームの原監督の言動も、大人な態度であり、素晴らしかった。永年、ライバルと言われ、今後も終世のライバル関係が続くであろう。日韓、双方で野球の世界で、十二分に存在感を示すことができた。5度も闘いつつ、日本・韓国というお互いの国を手を携え、アピールできた、最高の外交であったと思う。スポーツにはときに民族意識が現れるものの、それを乗り越えることができるチャンスでもある。