神楽坂のキャリアコンサルタント

永らく「神楽坂のキャピタリスト」のタイトルで発信をして参りましたが、この度タイトル名の変更を致しました。

昔の人の知恵に学ぶ

macky-jun2009-02-02

 週末飲み疲れて、今日は月曜日。月初とあって朝から全体会議がある。とてもブルーな気分になる。どうも何かが違っている。歯車がどうも合っていない。最近のこの気分は何だろうか。確かに、サブプライムが弾けて、100年に一度の金融危機と呼ばれ、トヨタソニーパナソニックや・・・世界に冠たる企業まで、軒並み今期は赤字の見通しである。おまけにこれらの大企業が正社員をも含めた首切りを始めた。雇用を重視するはずの、日本企業がなりふり構わず、人員解雇に手を染めた。証券や銀行も赤字決算となるのだろう。従って、融資は絞られ、中小企業は金繰りに詰まってしまう。経営体力の弱い中小企業は手を挙げてしまう。企業が倒産すれば、銀行の不良債権は膨れ、銀行収益を更に圧迫する。世の中を見回しても、明るい話題はほとんど無い。
 特に、我々の属するベンチャーキャピタルの世界は更に厳しい。新興市場での公開件数がガタ減りで、ピーク時の1/4近くに落ち込んでいる。株価は東証株価の落ち以上にとても深刻で、東証マザーズ指数はピーク時の1/10で、中には1/100や1/1000になってしまった銘柄も決して少なくない。もはや紙くず同然である。粉飾決算や不祥事、反社会的勢力の暗い影、投資家の信頼を失ってしまった新興市場は、どうしたら再生できるのか、先が見えない。暗夜行路である。
 若い人たちにこの世界の魅力を伝えていく役割である筈なのに、何をどう伝えたらいいのか、解らなくなっている。私自身がこの市場、ビジネスに抱いていた夢を失いつつあるせいだろう。自分が心底そう思っていないと、口先だけでいいことを言っても、所詮、わかってしまう。
 今日の日経新聞「インタビュー領空侵犯」でCPAの田中靖浩さんがとてもいいことを言っていた。この方は企業会計を素人向けに解説した著書でベストセラーを出している。腹を決めて経済の「下り坂」を受け入れようと提唱している。「米国は1930年代の大恐慌を除き、ずっと基本的に右肩上がりの成長をしてきたので、いったん下り坂になると弱い。一方、日本は江戸時代に何度も大きな飢饉を経て、低成長や人口減少の時期を長く経験している。自然の前では人間の力などごく小さく、腹を決めて現実を受け入れるしかない。そう考えれば経済が下り坂でも生きられる。」(そう言えば、今朝、浅間山が噴火したっけ。何が起きるかわからないことはいっぱいある。)「金融危機はもっと利益を、もっとお金をと際限無い欲望に囚われてしまったことに原因がある」と、前に私が「インベストメントバンクの破綻」で書いたような論理を展開されているので嬉しかった。
 「二宮金次郎も”質素倹約の人”というイメージですが、実際は「もっと良い生活をしたい」という欲は肯定していた。ただ、その欲の上限をはっきりさせ、”分度”と呼びました。むやみに収入を増やそうとするのではなく、収入の範囲内で生活の質の向上を考える。」昔の人の知恵に学ぶ必要がありそうだ。分相応に自分に出来る事を、決して無理はしないが、精一杯やっていく。それしかなさそうである。