神楽坂のキャリアコンサルタント

永らく「神楽坂のキャピタリスト」のタイトルで発信をして参りましたが、この度タイトル名の変更を致しました。

浦沢直樹 「20世紀少年」

macky-jun2008-12-27

 中学の友人龍ちゃんから、突然ずっしり重い宅急便が届いた。何事かと開けてみると、浦沢直樹の漫画「20世紀少年」全22巻+「21世紀少年」2巻の計24巻が入っていた。どうりで重いわけだ。そういえば、先般忘年会で会った時に、そんなことを言っていた。最近、映画化もされ、流行っている漫画だとは知っていたが、読んだことはなかった。まさか、24巻もあろうとも思っていなかった。思いがけぬクリスマスプレゼントだった。「正月、家族で楽しんでください。」とメールが来た。
 今日、さっそく5巻まで読んだ。話の設定は1973年が中学生なので、ちょうど我々とほぼ同じ年代の主人公達ということになる。もっとも2000〜2007年の作品なので、登場人物は今の我々よりも少し若い設定となる。少年時代の絆で結ばれた、少年・少女、そして大人となった彼らが、時代を超えて活躍する姿を描いている。ストーリーはミステリー仕立てであり、ベースは少年時代の「秘密基地」にある。我々年代にはとても懐かしい言葉の響きである。俺も当時、率先して、「秘密基地」作りをしたし、探検ごっこをした。そこで構想していた未来の正義と悪との闘いが、次々と奇怪な事件と共に、何者かによって仕掛けられ、実現化していってしまう。その集団「ともだち」のリーダーが、どうやら少年時代の仲間らしいのだ。こうして、回想とともにタイムリープしつつ、真実を解明し、地球の危機を救うべく、かつての仲間が集結し、ストーリーが展開していく。
 登場人物も、なかなか魅力的な設定をしており、この先の展開が楽しみだ。浦沢直樹の人物の描き方はベースとして勇気と正義感を持った主人公であること、ちょっとアウトサイダーに外れていること。「Monster」に出てくる元医師も、「Pluto」に出てくる登場人物も、この「20世紀少年」に出てくるケンヂやオッチョもそうだ。そして、必ず強くて美人な(チャーミングな)ヒロインが登場する。「YAWARA!」の猪熊柔しかり、「20世紀少年」のユキジ、カンナしかりである。ちなみに、誤解されているようだが、「YAWARA!」の猪熊柔のモデルは谷亮子ではない。日本女子柔道界黎明期の軽量級のエースで、解説でお馴染みの山口香がモデルらしい。
 浦沢直樹の漫画には、我々年代特有の、手塚治虫鉄腕アトム」や横山光輝鉄人28号」の影響が、色濃く残っている。また、アポロ11号の月面着陸の話であり、T-Rex「20th Century Boy」(よく聴きました。勿論持ってます)、Beatles「Get Back」(あの頃に戻ろう)と、とても懐かしい。中学の放送室で、T-Rex「20th Century Boy」を流す場面があるが、我が中学でもKing CrimsonとかEL&Pとか当時のロックを短く編集して、誰かが昼の給食時間に流したことがあった。そんなことを思わず想い出した。平凡パンチとか、ロマンポルノのポスターとか、小道具類もとても懐かしかった。
 いったい、龍ちゃんは何を意図して、「20世紀少年」を送ってきたのだろうか。先日の忘年会で中学の仲間と飲んでいて、すっかり主人公になり切ってしまったのだろうか。確かに昔の仲間と集まっていると、タイムリープ現象を起こしてしまう。漫画のなかで、「今の俺達を見て、あの頃の俺達は笑うだろうか。」というせりふがあり、思わずドキッとしてしまいました。少年時代になりたいと思っていたような大人に、はたして自分はなれたのだろうか。