神楽坂のキャリアコンサルタント

永らく「神楽坂のキャピタリスト」のタイトルで発信をして参りましたが、この度タイトル名の変更を致しました。

 今年の新興市場を振り返って

macky-jun2008-12-20

今日で年内の授業は終了である。新興市場という我々キャピタリストにとっての、主戦場を振り返ってみた。今年のIPO市場は、まさに氷河期時代に入ったという表現がぴったりな一年であった。今年暦年の新規公開社数はわずか49社にとどまった。昨年が121社、一昨年が188社であるから、如何に減ったかが分かるだろう。主幹事は殆ど、大手・準大手の独占となり、公開引受業務から撤退する証券会社も多い。
 新興市場の再編の動きもあり、大証が11月にジャスダックへのTOBの実施を発表した。以前から、日証協でジャスダック株式の売却に関する議論が始まり、大証が買収することで合意するが、紆余曲折があり、何とか年内合意にこぎつけたようだ。
 個別企業の話では、上場後一年足らずで、上場廃止・破綻となる企業が続出した。特に不動産業界では、07/8上場のエルクりエイトが08/9に、09/2に公開したばかりのモリモトがいずれも倒産した。07/4に上場した中国企業のアジア・メディアの前社長が私的流用を行ない、上場廃止に追い込まれた。外国企業に対する審査体制が改めて問われる結果となった。
 公開会社の株価は10月後半から11銘柄連続で初値が公募価格を割れるなど、依然としてIPO市場への逆風は続いているようだ。個人投資家新興市場離れが鮮明であり、JDQの売買代金では、ライブドアショックの06/1には8割を個人投資家が占めたが、08/11では5割を割っている。相場低迷もさることながら、新興市場銘柄の魅力も低下している。公開した会社の業績下方修正も多い。粉飾決算に手を染めたり、反社会的勢力とかかわる企業も少なくない。ある人は「反社会的勢力に汚染された企業は20社程度」と指摘。「公開前なら排除できるが、上場後はどうしようもない」と明かす。
 日本の新興市場のモデルとなった米国Nasdaq市場の上場廃止ルールは厳しく、04年に3,229社だった上場社数が、07年には3,069社に減っている。毎年150社前後が公開し、200社が退場していることになる。今後の新興市場の復活のためには、明確な退場ルールを整備して、上場企業の質を高め、市場の信頼を回復していくしかないように思う。たぶん、来年は名古屋セントレックス札幌アンビシャス、福岡Qボードという地方市場の統合が行われるだろうし、東証で考えている英国AIMのようなプロ向け市場の創設がどうなるか、注目されるところである。