神楽坂のキャリアコンサルタント

永らく「神楽坂のキャピタリスト」のタイトルで発信をして参りましたが、この度タイトル名の変更を致しました。

時価会計を巡る論争

macky-jun2008-12-13

 昨晩は院の授業のあと、生徒と早稲田の加賀屋で忘年会方々一杯やった。店のお姉さんに「神楽坂加賀屋の姉妹店ですか」と聞いてみると、「神楽坂はお兄さんがやっている」とのこと。メニューの木札もお店の雰囲気も同じだが、こじんまりとしていて、広さは半分くらいだった。煮込みに焼きとん、もやしにトマトに厚揚げを肴に、ビールに始まり、日本酒、ホッピーでしめる。こんな居酒屋で若い人と酒を飲むのはいい。場所を替えた教室で、楽しい。
 今日は生徒にレポートを発表してもらった。「時価会計について」と「リストラクチャリングについて」、いずれも今日的なテーマだ。時価会計はいま会計の世界ばかりではなく、金融危機にある世界中の金融機関にとって大きな問題となっている。この議論が賛否両論あるのも、いまの状況である。「時価会計基準が現下の金融情勢を一層悪化させている」という意見と、「投資家が企業の実態価値を正しく捉える上で、時価会計基準は必要だ」という意見である。確かに両面あり、両者の意見はわかり、一方立てると一方が立たなくなる。その結果、先行した欧米に続き、日本の企業会計基準委員会も債券の保有区分変更に関する会計基準を最終決定した。要は満期保有目的の債券であれば、時価評価しなくていいということだ。その結果、金融機関などでは保有する証券化商品や変動利付国債の損失表面化を先送りが可能となる。証券化商品が金融市場の麻痺で値段がつかなくなっていること。日本だけ採用しなければ、欧米に比べて不利になる。海外と足元を揃えるべきだとの意見が勢いを増し、変更せざるをえなくなった。
 また、時価会計を厳格に押し通せば、銀行の損失は大きく膨らみ、自己資本を毀損させ、BIS規制の縛りからリスクアセットを増やせない銀行は貸し渋りに向かわざるを得なくなり、更に企業の破綻を促し、不良債権が増大する、不景気を助長する等の負のスパイラル現象を起こしてしまう。会計上の問題から実体経済へのマイナス影響が避けられなくなる。金融危機への対応として、一時的に基準を緩和させ、対応していくのか、継続性の原則、実態重視で行くのか。いまどちらが、国民全体にとってより幸福となれるか、という視点で、透明性を確保しつつ、柔軟に選択をしていくべきなのであろう。