神楽坂のキャリアコンサルタント

永らく「神楽坂のキャピタリスト」のタイトルで発信をして参りましたが、この度タイトル名の変更を致しました。

9/15の世界経済分岐点

macky-jun2008-12-07

  9/15のリーマン・ショック以来、世界が変わってしまった感がある。それ以前とそれ以降、世界の見え方が全く変わってしまった。サブプライム問題は昨年夏に表面化し、今年3月に米大手証券ベアー・スターンズが破綻した。しかし、政府主導でJPモルガン・チェース救済合併された。その後も市場は不安定だったが、小康状態を保っていた。リーマン・ブラザーズバンク・オブ・アメリカ等の合併で、当事者たちも救済されると思いこんでいた。しかし、政府支援もなく突然あっけなく破綻した。果たして、ポール損(ソン)財務長官の判断に問題はなかったのか。他の金融機関・ファンドの資金調達に多大な影響を与えることになった。大手企業の資金繰りにも波及した。金融安定化法で当初はサブプライム関連不良債権の買取り案で議会を通過したが、後に資金使途は変更され、金融機関への資本注入に変わってしまった。しかも、資本注入の方法も厳しい資産査定なしに目分量で行われる。現にシティグループAIGには既に追加の資本注入が行われた。どうも、米国政府の金融危機への対応は戦略性に欠け、迷走しているように見える。
 世界中の株価の大暴落、資源価格の大暴落、デフレの脅威の顕在化、欧米での急激な低金利政策への変更、それに伴う為替変動、円キャリートレード清算に伴う急速な円高、欧州での国家破綻(アイスランドウクライナハンガリー)、銀行の国有化、実体経済に忍び寄る世界不況の兆候、米国ビッグ3の救済問題、世界中での雇用不安・・・・次々と問題が連鎖している。
 ありとあらゆる経済指標が大変動をしている。これまでの経済理論は役に立たないようにも思われる。9/15以前の常識はもはや通用しないのかもしれない。このような現実の状況下で、理論的なことを学ぶのは歯がゆく思え、足元で今起こっていることをじっくりと見て、考えることにしている。大学院の授業でも、この一週間に起きたことを題材にして、学生と議論をしている。過去のセオリーを教える気にはどうしてもなれない。今、世界中で起きていることはダイナミックな生きた教材だ。これ程、刺激的で面白く、難しいものは無い。今、起きていることを注意深く、観察し、現在に集中していきたい。釈迦の教え通りに、過去を追うな、未来を願うな、だと思う。
 一方で、歴史に学べという議論がある。今回の世界金融危機が100年に1回の危機と言われ、1929年の大恐慌との類似性が指摘されることが多い。ジョン・K・ガルブレイスの「大暴落1929」の著作が話題となっている。1929年の大暴落の特徴は「最悪の事態が実は最悪ではなく、さらに悪化し続けた」点にあると指摘している。大恐慌を招いた一因は政権の無策だと断じている。今は果たしてどうなのか。20カ国緊急サミットを開く等、グローバルな対応や政策協調は速やかに為されており、当時とは違うと言われている。歴史が繰り返さないことを祈りたい。しかし、我が国のアホウ(麻生)首相の脳天気な言動や行動を見ていると、不安にならざるを得ない。定額給付金なんかを国民に配って、選挙対策の人気取りなんかしている時じゃないぞ。非正規雇用者が突然リストラされ、社宅を追い出され、ホームレスになる人が増えているという。日々寒くなる今日この頃、雇用問題に早急に取り組むべきじゃないのだろうか。