神楽坂のキャリアコンサルタント

永らく「神楽坂のキャピタリスト」のタイトルで発信をして参りましたが、この度タイトル名の変更を致しました。

ベンチャー投資について思うこと

macky-jun2008-12-03

  師走の日々はいろいろなことが起きる。万全と思って上げた案件が酷評されたり、慎重に行けと言われたり、新興市場がこのように変わってしまったので、常識が変わってしまったのだろうか。仕事をしていて、張り合いが出たかと思うと、かわされたり、はぐらかされたり、拍子抜けである。いかに社員のモチベーションを高めていくかが、ポイントだと思うのだが・・・。
 但し、この未熟な私もここ最近はめっきりというか、漸く遅まきながら成長し、すぐ反論するのではなく、まずは冷静に受け止めて、考えることにした。時間をおいて、ゆるりと対応することにした。たとえ説得できなくても、何故、受けとめて貰えないのだろうと、無表情で(冷静に)再度、受けとめていくこととした。この場合、どこまで粘れるかだが、かつての俺ならば最終的に自分の意見を押し通すまで頑張ることが多かった。長いものに巻かれなかった訳である(まどかさん、懐かしいね!)。自分のあげた案件は、減額はされても、必ず全部通した(認可された)のを売りにしていた。
 しかし、最近はそれが無くなった。案件を否決されることも多くなった。以前ならば、このベテランキャピタリストの自分があげたものを否決するとは何たるやと熱くなることもままあった。しかし、最近はあっさりと引くことも多くなった。確かに、否定されながら投資実行し、失敗するケースは多い。あの時、素直に言う事を聞いていればと思ったこともあるのは事実だ。だけど、否定されながら、粘りに粘って、成功したケースもあるのである。これは格別の喪快感があるものだ。
 ベンチャーキャピタル投資の案件はIPO(公開)確率が3割行けば、上出来と言われる。所謂、3割バッターである。一方で、約2割が破綻(倒産)する。銀行の融資に比べれば、とても高い確率で破綻に至るのである。Early StageやStart Upsの企業に対しても果敢に投資して行くので、当然である。あとの5割がIPOも破綻もしない、Living Deadという困った企業群である。Living Deadとは文字通り、植物状態である。IPOすればキャピタルゲインが入ってくる。勿論、めでたくIPOしてもキャピタルロスとなってしまう不幸なケースもある。特に、最近は増えていると思う。VCの経営上はこのLiving Deadを如何に少なくできるかがポイントとなる。何故ならば、破綻すれば無税償却ができるので、節税が可能となるのである。
 ここで、述べたようにVC投資の成功確率は良くても3割である。まして今のように公開の門戸が狭く閉じられてしまったマーケットではもっとぐんと低くなっていくのだろう。失敗することの方が遥かに多いビジネスなのである。それ故に、完璧な企業はあり得ないし、多少の欠点を長所がカバーできるかどうかを判断することになる。その欠点をリスクとして飲み込むことができるかどうかが投資の決断である。怖がって投資を決断しなければ、失敗もしない。だけど、成功することもありえないのである。