神楽坂のキャリアコンサルタント

永らく「神楽坂のキャピタリスト」のタイトルで発信をして参りましたが、この度タイトル名の変更を致しました。

姜尚中「悩む力」を読んで

macky-jun2008-11-03

 TBSでやっている「フェルメールの暗号」を観ながら、書いている。フェルメールにまつわる秘密を推測していく。現在、オランダの画家・フェルメール展が上野の東京都美術館でやっており、チケットは朝日新聞の購読者サービスで貰って、持っているので、近々平日の空いた時にでも行きたいと思っている。こんな特集番組があると、またうんと混んでしまうに違いない。案内役をやっている滝山(大河「篤姫」)の稲森いずみがヨーロッパの街並みに溶け込み、綺麗だった。
 今日は一日家に籠って、読書に耽ったり、テレビを観て過ごした。姜尚中(カン サンジュン)の「悩む力」を図書館から借りて、期限が来ていたので、一気に読み切って返してきた。今この本はとても流行っており、ベストセラーになっているらしい。先日、神田神保町に行った際も、姜尚中が講演会とサイン会をやっていたと後で知り、悔しがった。俺もかなりミーハーな男なので、時々はベストセラー本も読む。姜尚中の真面目で誠実そうな人柄にテレビで触れている内に、一度著作を読んでみたいと思っていた。
 題名通り「悩むことの大事さ」を全編に渡って力説している。悩むということは負の行為なので、マイナスと思われているが、それを肯定的に捉えている。悩むことではじめて自分の内なる力に目覚め、生きる力や創造性につながっていく。 生きることの意味、お金、自我、青春、信仰、働くこと、死、愛、老い....といった人生の大事なテーマについて、著者のき真面目な性格通り、真面目に論じている。姜尚中自身が在日という出自から、若い頃は「社会から承認されていない自分」に悩んできた。スロー・スターターでもある彼がなかなか学者という職業社会でも乗れず、悩み続けてきた。その精神の軌跡を夏目漱石マックス・ウェーバーの著作からヒントを得て、丹念に辿っている。
 俺自身も悩み多き男で、若い頃から常に悩んできた。最近もよく悩んでいる。「四十にして迷わず」というが、四十歳を遥か前に通り過ぎたにも関わらず、相変わらず迷って、悩んでいる。このまま一生迷い、悩み続ける様な気もする。いつか枯淡の趣の、分別のある賢い老人になりたい。
 巻末の終章が面白かった。福沢諭吉の「一身にして二生を経る」という言葉を引き合いに、姜尚中自身が考えている夢を披露する。これまで、全く経験も練習をしたこともないが、役者になりたいという。また、映画監督になって朝鮮統合記念に、日韓中ロ米合作で祖国をベースにした作品を撮りたいという。更に、大型バイクの免許を取って、イージー・ライダーのハーレーに乗って、日本列島、朝鮮半島をツーリングしてみたいともいう。映画イージー・ライダーのテーマ曲「Born to be wild」は「ワイルドで行こう」と訳されたが、(真面目に考え抜いた果てに、突き抜け、)「横着者で行こう」と彼は解釈している。
 「一身にして二生を経る」 とてもいい言葉だ。人生は思ったより短いもの。一度きりの人生ならば、一つの生き方だけで終わってしまうのは勿体ない。俺自身にも姜尚中ほど、ぶっ飛んではいないけど、チャレンジしてみたい夢がある。ここでは明らかにしないけど、秘かに楽しみにしている。