神楽坂のキャリアコンサルタント

永らく「神楽坂のキャピタリスト」のタイトルで発信をして参りましたが、この度タイトル名の変更を致しました。

ゆれる

macky-jun2008-10-09

  西川美和監督2006年作品「ゆれる」がNHK BS-2でやっていました。評判の高い映画で前から是非観たいと思っていた作品です。
 (STORY) 東京で写真家として成功し、自由奔放に生きる弟・猛(オダギリジョー)。母の一周忌に久々に帰郷した彼は、そこで父(伊武雅刀)と共にガソリンスタンドを経営する兄・稔(香川照之)と再会する。猛は頑固な父とは折り合いが悪かったが、温厚な稔がいつも2人の間に入り取りなしていた。翌日、兄弟はガソリンスタンドで働く幼なじみの智恵子(真木よう子)と3人で近くの渓谷に足をのばす。ところが、川に架かる細い吊り橋で、智恵子が眼下の渓流へと落下してしまう。その時、そばにいたのは稔ひとりだった。事故か、事件か、やがて裁判が始まる。その過程で稔は意外な一面を覗かせる。一方、一部始終を目撃していた猛も激しく揺れ動く。〜 (all cinemaから)  
男兄弟の愛憎の物語である。幼馴染の智恵子の事故なのか事件なのかを軸にして、兄弟の内面の葛藤が描かれる静かに深い、けれどとても熱いストーリーである。中盤から裁判のシーンが続いていきます。そしてここではこの事故の真実というよりも、お互いのの相手に対する思いが語られていく。強く深い、兄の弟への嫉妬、怒り。今までの生涯は兄として、跡取り息子として、誰からも好感のもたれるいい人であろうとした兄・稔。そんな彼の感情はここで爆破し、また弟の毅も彼の思いで爆発する。拘置所でお互いのホンネをぶつけあうシーンで、互いの感情が爆発する。
 兄弟とは、互いに最も身近な他人の関係である。近くて遠い、似ているようで異なり、互いに影響を与えずにいられないライバル関係。そして、兄弟は互いに相手を切れない宿命にある。最終的に「ゆれる」で弟は兄を裏切る。だが、それで2人の関係が終わるわけではない。
 俺にも5歳違いの弟がいる。お互い一番近くで育ちながら、今ではまったく違った生き方をしている。一番解り合えそうで、案外遠い関係なのが兄弟ではないか、と思っている。そんなことを考えながら、この映画を観てました。ハリウッド映画と比べると、極力コストのかからない製作をしているけど、観た人に与えるインパクトはとても深いものがある、いい映画でした。あとを引いて、いろいろと考えさせてくれます。それがいい映画の証なのでしょう。