神楽坂のキャリアコンサルタント

永らく「神楽坂のキャピタリスト」のタイトルで発信をして参りましたが、この度タイトル名の変更を致しました。

インベストメントバンクの破綻(続)

macky-jun2008-09-19

 今週はリーマン・ブラザーズの破綻から米欧金融機関の再編の話題に終始した一週間であった。メリルはバンカメに救済買収され、リーマン・ブラザーズは破綻となったが、英国バークレイズが米国と日本事業の一部を買収するようである。保険のAIGグループは一転、国家管理されるということで落ち着いたが、今度は第2位のモルガン・スタンレーが焦点となっている。シティに合併を持ちかけたが、断られたようで、米第4位の銀行ワコビアとの合併交渉が行われているとの観測だ。第1位ゴールドマン・サックスは比較的安泰としているが、インベストメントバンクというビジネス業態自体が無くなってしまうのではないかとの極端な見方もある。
 日本の10年前の姿に酷似しており、デジャブだということが言われているが、証券・銀行の相次ぐ破綻の末に、大胆なグループ再編が行われたのが、10年前の日本の金融機関であり、当然ながら私もその渦中にいた。三洋、山一の証券会社が潰れ、日長銀日債銀、北拓が潰れ、さくら、富士が市場から狙い撃ちに会い、預金者が行列を為すような事態もあった。その後、一歓・富士・興銀の3行統合、住友・三井の財閥を跨った合併、三和・東海・東洋信託のUFJ三菱東京が飲み込むという大再編が行われ、形振り構わない事態であった。取引先からの増資引受、政府からの公的資金投入等で、何とか金融危機を回避したのだった。今回、米国市場がまったく同じような事態に直面している。米当局としては日本がモデルケースとなり、政策決定が為されていくのだろう。
 かつてインベストメントバンクは日本の金融機関に身を置く者として、憧れの世界であった。今の学生にとっても報酬の高さ、仕事のダイナミックさ、かっこよさから、就職先としてダントツの人気があるらしい。私の所属していた銀行はかつては日本の金融機関の中ばかりでなく、あらゆる民間企業の中でもかなりいい水準の年収を頂いていた企業だと言われてきた。けれども年収が数千万から一億円も珍しくないインベストメントバンカーとは大幅な格差があった。当然ながらインベストメントバンクに転職していく者もいた。しかし、直ぐに外資の間を移り、1〜2年で転々としていく者も多かった。
 破綻したリーマン・ブラザーズ日本法人の桂木明夫社長は旧行のOBであり、かなり若い時分に外資に転職した、当時としてははしりの人で、我々にとっては憧れの先輩であった。小生もヘッドハンターを通じて、外資インベストメントバンクに誘われたことが何度かあった。その時は在籍した会社と仕事が好きだったことと、英語に自信が無かったことから、話には乗らなかった。後に会社が統合することとなり、ゴタゴタし、周囲もそうだったが、小生も転職というものをマジで考えたことがあった。だが、その時はもう小生に声はかからなくなっていた。
 だから、傍らでしかインベストメントバンクというものを見ていないわけだが、GSとかメリルだとかはよく、アドバイザリー提案でぶつかることが多かった。同じことをやっているのに、何故、個人の報酬はこんなに違うのだろうとの疑問は残ったのだった。