神楽坂のキャリアコンサルタント

永らく「神楽坂のキャピタリスト」のタイトルで発信をして参りましたが、この度タイトル名の変更を致しました。

大物はいなくなったのか

macky-jun2008-09-14

 日曜朝8時からの関口宏が司会をする「サンデーモーニング」で、今の日本にはかつてのような大物がいなくなった、という特集をやっていた。長嶋・王、大鵬双葉山石原裕次郎美空ひばりがかつての大物の代表例として挙がっていた。しかし、とても違和感を覚えたのだった。では、イチローは大物ではないのか?松坂はどうだ?2大会連続で4つの金メダルを獲った北島康介は大物ではないのか?戦後の”フジヤマのトビウオ日本水連の重鎮古橋広之進と比べても、北島康介の実績の方が偉大であることは間違いないと思う。
 話を野球に絞って議論をしてみたい。大リーグで次々と記録を打ち立てるイチローはこと野球に限って言えば、かの長嶋・王も及ばない選手であると思っている。1シーズン最多安打記録を90数年ぶりに書き換えたイチロー。時代が違うので、1世紀前の選手と比べるのは愚かしい。すなわち、あの記録を打ち立てた時点でイチローは歴代最高のバッターになったのではないかと個人的には思っている。今シーズンは8年連続で200本安打を記録しようとしている。イチローの安打は内野安打や内外野のポテンヒット、所謂セコいヒットが多いと言われることもある。違うのだ。彼は確実にヒットになるようにうまく打ち分けているのだ。イチローの俊足がヒットを産むのである。イチローは打撃ばかりではない、走攻守揃った野球選手なのだ。愛工大名電高校時代エースであったイチローはその気になれば140km台の球を投げれるらしい。彼のライトからのレーザービームは芸術であると思う。イチローの創る世界は、野球を投げて、打って、獲るだけの世界から、限りなく広げたと思う。野球の面白さを幅広く表現している功労者である。
 確かに六大学の当時のホームラン記録8本を打った長嶋茂雄は、学生時代からプロの技を意識し、魅せる野球を目指した。国鉄金田から4打席4三振のデビューも派手だったし、天覧試合というここぞという場面でサヨナラホームランを打ったりもする。そもそもわざとゆるめのヘルメットを浅く被り、空振りして派手に飛ばしたり、普通のボテボテの打球を遅いスタートで飛びついて捕獲し、ファインプレーに見せてしまうテクニックは、長嶋がショーマンとして学生時代から考えていたものだ。派手な言動、奇怪な長嶋語録も評判を呼んだ。時代が生んだスーパースターだ。だけど、長嶋の記録を歴代の大選手と比べると大した記録でないことがわかる。
 一方、王貞治はホームラン記録を中心に、いまだ破られない数々の不滅の打撃記録を持っている。”記録に残る王、記憶に残る長嶋”と言われる所以だ。さて、小生は決してONという偉大な野球選手にケチをつけるつもりは毛頭なく、彼らV9戦士の野球を見て育った野球小僧である。勿論、彼らのことは大好きである。
 今の時代にも大物はいる。イチロー松坂大輔北島康介谷亮子SMAP、あゆ・・・・。戦後、高度成長期に人々の関心は単一なものに向かった。みんな、プロ野球を観て、大相撲を観て、プロレスを観た。映画館に通い、裕次郎を観て、テレビの歌謡番組では美空ひばりの歌を聴いた。今のようにスポーツや娯楽が多様化されておらず、少数の娯楽にみんなして群がったのだった。だから、大多数に支持される大物が必然的に生まれることとなった。その当時の世界では彼らの実力は群を抜いていたのだろうが、今のスターたちの実力が劣っているとは思えない。単純に、大多数の大衆から支持されるような環境だったし、それ故に大衆から生み出された大物たちだったと言えるのではないだろうか。