神楽坂のキャリアコンサルタント

永らく「神楽坂のキャピタリスト」のタイトルで発信をして参りましたが、この度タイトル名の変更を致しました。

Gary Becker & Myron Scholes講演会(2)

macky-jun2008-09-12

   昨日に続いて、講演会の続きをご紹介したい。ゲーリー・ベッカー教授は78歳と高齢だが、米シカゴ大学の現役の教授である。米国の大学には定年が無いのか、大物だから何時までも現役なのだろうか。「高等教育とグローバリゼーション」というタイトルで話をされた。人的資本がここ30年間で大変革された。1970年と2000年の教育レベル(大学進学率)を日韓米を比較して、日韓では進学率が高くなっているのに対し、米では上がっていない。

 高等教育が我々の生活に影響を与えてきたかを沢山のデータを使って示し、教育を受けた人ほど長生きする、健康である、所得が高い、ショックへの対応力が高い、という。特に男性ほどその格差が大きいということを言われていた。良い格差であり、教育投資が増えることで、社会的に前向きな変化が起きる。

 世界的に長寿化、少子化が進行している。長寿化は必ずしも悪いことではなく、むしろ歓迎すべきことなのだろう。女性1人当たりで生まれる子供の数が、先進国で2人以上なのは米国のみである。日本は1.2〜1.3人しかなく、これを補助金等の整備で1.5人程度に持っていくべきである。日本は所得水準が高い。多くの人は日本に来たいと思っている。日本は移民を受け入れるべきである。米国は移民で誕生した国であり、移民の受け入れには慣れている。日本は先ずは熟練技能労働者から受け入れるべきである。インドネシアから看護師を受け入れるという話があるが、彼等は高所得で語学にも適応しやすい。社会的な摩擦は少なかろう。その後に、日本人がやりたがらない単純作業労働者の受け入れをするべきである。出生率は減っているので、人口の伸びを維持する為には移民を受け入れ、上げていくしか道はなさそうだ。人口が下がるのは良くないとは、アダム・スミスも言っている。

 グローバル化の中で成功を収めていく国は、人的資本の管理がうまくできた国であると思う。すなわち、教育、出生率、移民、健康等の問題を適切に解決でき、国民への投資をうまく行なっていく国が残っていくのではないかと思う、というのが結論であった。

 ゲーリー・ベッカー教授は自身のブログを週に1回更新されており、こうした問題についても書かれているとのことである。是非とも読んで勉強して行きたい。とても、高い角度からのお話であり、単に経済学のみに留まらない、問題意識の広範さに、見識の高さを感じた講演であった。ご関心の向きはhttp://www.becker-posner-blog.com/を覗いてみてください。ブログは英語で書かれていますが、自動翻訳されるようになっています。